宮崎県建設業協会青年部連合会(坂口浩部会長)は5日、宮崎県立妻高等学校で「建設業魅力発信事業」を行った。同校の1年生120人余を対象に開いた出前講座で、建設業の魅力ややりがいを青年部メンバーらが訴えたほか、サッカー部の男子・女子部員30人余と共に部室前に設置する支柱看板製作の体験学習に取り組んだ。
担い手不足が深刻化する建設業に於いて、若手技術者の確保や技術の伝承は喫緊の課題と位置付けられている。山積する課題の解消に向けて、県内建設企業の若手経営幹部らで構成する青年部連合会では、建設業のやりがいや魅力を若者に広く発信し、建設業を正しく理解してもらう「魅力発信事業」を各地で展開している。
5日に妻高校で行われた出前講座では、はじめに妻高校の門田誠校長が挨拶。出前講座の準備に取り組んできた西都地区建設業協会青年部のメンバーと宮崎県西都土木事務所の職員に感謝の意を示すと共に、生徒達に対して「きょうの講座をきっかけに、建設・土木業界のことを知り、興味を持ってもらいたい」と呼び掛けた。
西都土木事務所の森茂雄所長は、公共事業の効果や建設業が抱える課題を紹介。道路や河川等を整備する公共事業は、住民が快適で安全・安心に暮らしていくための社会資本整備であること、災害対応の最前線で活躍する地域建設業の育成が急務であり、若年者入職に向けた労働環境の改善に全力で取り組んでいることを説明した。
続いて、西都土木事務所の担当者が公共事業の果たす役割や流れスライドで説明。土木・建設業で働くことの魅力として、▽かたちに残る物をつくる=未来をつくる、地図に残る仕事▽地域の役に立てる=住民のよろこびを実感できる▽自分の考えを現場に活かせる=仕事にやりがいを見いだせる―の三つを挙げた。
その後、西都地区建設業協会青年部が自主製作したDVDを全員で鑑賞。趣味のためだけに作業員として建設現場で平凡と働いていた二人の「オタク」が、先輩技術者から建設業の魅力ややりがいを学んでいく中で仕事に興味を持ち、苦労の末に現場代理人などとして独り立ちしていく姿を青年部メンバーが熱演した。
上映後に登壇した出演者は、自身が施工に携わった砂防ダムの仕組みや工程等を写真を使って紹介。一ツ瀬建設の中武倫子さんは「仕事をする上で一番大切なのは想い。現場で働く女性がもっと増えて欲しい」と話し、川上建設の椎葉慧詩さんは「誰かの役に立っていると信じて仕事をしている」と、建設業で働く魅力を訴えた。
午後から行われた体験学習では、青年部メンバーの指導の下、部室前に設置する支柱看板の製作にサッカー部員が挑戦。クギと金槌を使って型枠を組み立て、打設時に壊れないよう周囲を鉄線で補強し、生コンの練り込みと打設までを生徒達の手で行った。1週間程度同校で養生し、脱型した支柱に看板を差し込んで完成させる。
出前講座を受講した生徒の代表は「土木の仕事を楽しく学ぶことができた」と笑顔で話した。西都地区建設業協会青年部の橋本吉朗部長は「若者の建設業に対する興味や関心の無さが、業界の高齢化・担い手不足の要因の一つ。出前講座や体験学習を通じて、『建設業って面白そう』と考える若者がひとりでも増えてくれれば嬉しい」と述べた。