国土交通省九州地方整備局宮崎河川国道事務所と宮崎市上下水道局は7月3日、大規模災害等における断水を想定した初の合同応急給水訓練を、宮崎市の富吉浄水場で行った。訓練には両者の職員約60人が参加。宮崎河川国道事務所が所有する散水車から、上下水道局が所有する給水車に補水する手順などを入念に確認した。
今年1月の能登半島地震では、最大約14万戸で断水が発生するなど、上下水道施設で大規模な被害が発生した。被災地では、日本水道協会の枠組みによる水道事業体の応急給水支援や国の機関によるプッシュ型支援等が横断的に行われており、迅速かつ円滑に復旧・復興を図るため、各機関の連携体制を強化する必要がある。
開会挨拶で宮崎河川国道事務所の堤宏徳総括地域防災調整官は、「自然災害が激甚化・頻発化する中で、一つの機関だけで対応するには限界がある」と指摘。それぞれの機関が保有する資機材や能力を連携して活用する必要性と、今回の訓練の意義を強調した。
訓練では、能登半島地震で給水支援活動を行った宮崎河川国道事務所の給水機能付散水車(6.5m3)に、富吉浄水場の緊急給水栓から補水。その後、同じく能登半島地震で給水活動を行った宮崎市上下水道局所有の給水車(3.0m3)と散水車をホースで繋ぎ、散水車から給水車に補水する手順を確認した。
車両間の補水作業と合わせて、上下水道局の職員が避難所等に設置されている給水タンク(LCタンク)の組立作業を行い、補水作業を終えた給水車からLCタンク内に給水。その後、LCタンクと仮設の給水栓をホースで繋ぎ、蛇口から水を出して、個別に配布する給水袋に入れるまでの手順も確認した。
宮崎市上下水道局の下郡嘉浩局長は、安全・安心な水を安定的に提供するだけでなく、いつ発生するか分からない有事に備えることも上下水道局の責務とした上で、「手順に沿った緊張感のある訓練だった。互いに顔の見える関係を深化していけば、円滑に災害対応を行うことができる」と講評した。