一般社団法人日本塗装工業会宮崎県支部(朽木充嗣支部長)は11月16日、県立宮崎工業高等学校で2021年度「いいいろの日」奉仕活動を行った。建築科2年生の36人を対象に、塗装業界の現状や塗装工事の内容について講話を行ったほか、熟練技能者の指導のもと、経年劣化していた校舎階段の壁面を生徒が綺麗に塗り直した。
日本塗装工業会では、毎年11月16日を「いいいろの日」と定め、各地でボランティア活動を展開。宮崎県支部では県内を3地区に分け、各地区の会員が地域貢献活動に取り組んでいる。これらの活動が高く評価され、社会貢献活動への取り組みが顕著な企業や団体を表彰する宮崎県の「社会貢献活動実践企業表彰」を受賞している。
いいいろの日の塗装奉仕活動に加え、担い手不足や熟練技能者の高齢化など多くの課題を抱える専門工事業の現状を踏まえ、宮崎県支部では2015年度から高校生を対象とした塗装体験学習を開催。実際に塗装作業を体験することで、塗装という仕事を身近に感じ、ひいては専門工事業に興味や関心を持ってもらう狙いもある。
16日に行われた体験学習では、堂地隆一普及委員長が開催趣旨や塗装業界の現状を説明。建築物を対象とした建築塗装だけでなく、橋梁等を対象とした土木塗装も行っていること、CADや施工管理の知識も必要であることを説明し、「塗装がどういう仕事をしているかを見て、体験して、将来の参考にして欲しい」と呼び掛けた。
講話では、日塗装本部普及委員も務める嶋末武氏が、塗装に対するイメージを生徒に尋ねたのち、日塗装の活動内容や若年技能士が塗装について語るVTRを鑑賞。塗装が果たしている役割、塗料に職人の技術・知識が加わって初めて商品になること、塗装技能者になるためのキャリアパス、若手塗装職人の一日などを紹介した。
朽木支部長は、塗装の本来の目的が、建物等を綺麗にする美観、風雨等から守る保全、抗菌等の機能性の3つであることを説明。塗装は「自分がやった仕事を、そのまま目にすることができる、やりがいのある仕事」であることを強調。講座や体験を通じて、専門工事業に興味・関心を持ってもらうことに対して期待を寄せた。
講話後には、経年劣化で色あせた校舎階段付近の壁面を塗り替える作業を全員で体験。早朝から会員企業の熟練技能者がビニールやテープによる養生、下地調整を済ませており、参加した生徒に対して、技能者がムラのない綺麗な塗り方などを指導しながら、刷毛やローラーを使って生徒達の手で対象箇所を綺麗に塗り替えた。
初めて塗装作業を体験した男子生徒は、「塗装専門の団体があることを知って驚いた。授業では学べないことを教えていただき、塗装体験では毛先をうまく使う大切さを学んだ」などと話した。