宮崎県建築士会宮崎支部(野田一孝支部長)は9日、宮崎県庁5号館移転工事(曳家工事)の現場見学会を開催した。参加した建築士会の会員ら19人は、全国でも事例の少ない鉄筋コンクリート造の建築物の曳家工事を見学。工事担当者から詳細な説明を受けながら現場内を見て回った。
宮崎県防災拠点庁舎の新設に伴う「宮崎県庁5号館移転工事」では、大規模災害発生時の対応拠点等とするために庁舎の新設を行うが、歴史的・文化的な価値を有する5号館が新庁舎建設に支障を来すため、約70m離れた場所に曳家で移転するもの。移動工程を、1次移動で斜曳き約40m、2次移動で約100度の回転、3次移動で約30mの直曳きを行う3段階に分けた工事計画で進行している。
現場見学会では、発注者である宮崎県の防災拠点庁舎整備室の宮里雄一室長が移転工事の概要について説明したのち、施工者である上田工業の柳田裕一郎現場代理人が、工事概要や移動装置の仕組みを図面や写真を使って解説したほか、現在の進捗状況として1次移動の斜曳き約34mが完了している事を説明した。
その後、参加者は現場内に入り、工事担当者からの説明を受けながら実際に建物が移動する様子を見て回った。野田支部長は、「なかなか見る事ができない現場に入り、重要文化財である5号館の曳家工事について詳しい説明や内容を聞く事は貴重な体験になった。参加者には将来また同様の工事があるときに、今日の見学会での経験を活かせるよう、多くを学んで欲しい」と述べた。