災害発生時の応急対策や復旧・復興対策を円滑に実施するため、宮崎県が整備を進めていた「防災庁舎」が完成し、8月1日に現地で完成セレモニーを行った。河野俊嗣知事や県議会の丸山裕次郎議長、関係部署の幹部職員のほか、新型コロナウイルス対策特命チームのメンバーが参加し、テープカットで庁舎の完成を祝った。
防災庁舎は、「県民の生命と財産を守る庁舎」「人や環境にやさしい庁舎」をコンセプトに、旧外来者第1駐車場の跡地に建設した。建物の構造は鉄骨造一部鉄筋コンクリート造、階数は地下1階地上10階、延床面積は2万4406m2。県庁舎としてはじめて免震構造を採用したほか、1階床面の嵩上げ等を行い、耐浸水性も確保した。
庁舎の地階には駐車場、屋上には防災救急ヘリコプター等が発着できるヘリポートを設置。敷地南側に寄せて庁舎を配置し、災害時には緊急車両の駐車スペース等、平常時にはイベント等に活用できる防災広場を北側に確保した。歴史的・景観的価値を有する5号館を曳家工法で庁舎北側に移設し、創建当時の状態に復元する改修も行った。
防災庁舎の建設に係る建築主体工事は戸田・吉原・大和開発特定JV、電気工事は三桜電工・電工社・小田電業特定JV、管工事はエイワ・四季特定JV、空調工事は江坂・富士建・藤岡特定JVがそれぞれ担当。設計監理は山下設計・岩切設計・ごとう計画・設計JV。5号館移転工事は上田工業が担当した。
セレモニーで挨拶した河野知事は、コロナ禍の中で庁舎を無事に完成させた工事関係者の尽力に感謝の意を示すとともに、災害から県民の生命・財産を守る災害対応の拠点、様々な関係者が結集して対応する連携の拠点であることを強調。「新たな防災庁舎を有効活用し、防災対応を一段とレベルの高いものにしていきたい」と述べた。
新庁舎には1階と2階に福祉保健部、3階に危機管理統括官室と危機管理局、6階に病院局、7階に工事検査課、8階と9階に県土整備部が入居し、11日から業務を開始する予定。3階~7階は危機管理防災センターと位置付け、災害時に関係機関と連携しながら災害対応等にあたるほか、平常時は研修室や会議室として使用する。
このうち6階には、新型コロナウイルスの感染拡大を抑え込むために設置した特命チーム(チーム長=郡司行敏副知事、事務局長以下10人程度)が8月3日から入居し、クラスター等が発生した圏域市町村との連絡調整や現地対策業務の支援、宿泊施設の立ち上げ、県民及び事業者への情報発信、マスコミへの情報提供等を行っている。
県土整備部関連では、7階に工事検査課、8階に河川課、砂防課、港湾課、建築住宅課、営繕課及び設備室、9階に県土整備部長室及び次長室、高速道対策局長室、管理課、用地対策課、技術企画課、道路建設課、道路保全課、都市計画課、高速道対策局、美しい宮崎づくり推進室が入居する。