一般社団法人宮崎県建築士会(松竹昭彦会長)は12月14日、宮崎市内で高校生の「建築甲子園」宮崎大会を開催した。県立宮崎工業高等学校、県立都城工業高等学校、県立日向工業高等学校の建築系学科の3年生が、「地域のくらし…これからの地区センター」をテーマに、チームや個人で考えた作品をそれぞれ発表した。
建築甲子園は、建築教育課程のある全国の工業高校、高等学校、工業高等専門学校を対象とした全国規模のコンペ。新型コロナウイルス感染症の影響で、2020年度は全国大会が中止となったが、宮崎県建築士会が各校に大会開催を打診したところ、いずれも前向きな回答が得られたことから、宮崎大会のみを開催した。
主催者挨拶で松竹会長は、「建築の分野に限らず、自分の考えをしっかりと持って、周囲に伝えることが社会人として大切。プレゼンテーションでは、技術的な部分だけではなく、作品の意図をどのように伝えるかも審査の対象になる。相手をしっかりと見て、胸を張って、自分の考えを堂々と伝えて欲しい」と呼び掛けた。
14日に行われたプレゼンテーションでは、宮崎工業高校の2チーム、都城工業高校の4人、日向工業高校の1チームが作品のコンセプトや特徴を発表。松竹会長や一般社団法人宮崎県建築士事務所協会の福澤幸雄会長、公益社団法人日本建築家協会九州支部宮崎地域会の越山明典会長ら8人の審査員の鋭い質問に応じた。
最優秀賞に選ばれた都城工業高校の上野真緒さんは、日常的に使用するバスを基盤とした大量輸送システム(BRT)に着目。食品売り場やフードコート、交流センター、預かり保育所、屋上庭園などを備えた駅ビルを地区センターとして提案し、若者から高齢者まで様々な世代が集い、交流できる施設であることを説明した。
次点の優秀賞に選ばれた日向高校チームの作品「木もれ美のさん歩道」は、交流部門や運動部門、管理部門を備えた地区センターを提案。敷地内に歩道を整備し、気軽に寄り道できるようにしたほか、財光寺駅周辺の再開発後の町並みを考え、主要な通路に樹木を配置して、木漏れ日を感じられるよう工夫したことを説明した。
このほか、誰でも気軽に足を運べ、作品を展示できる美術館を提案した都城工業高校の北川真衣さんには審査員長特別賞を贈呈。宮崎工業高校のAチーム(谷帆華さん・谷口優さん・五六未来さん)とBチーム(鬼束琴音さん・松岡真央さん・芳田花湖さん)、都城工業高校の木脇義彦さんと田中翔さんにも奨励賞が贈られた。