宮崎県高岡土木事務所と株式会社藤元建設は、土木施工管理技術者の技術力向上に役立ててもらおうと、11月13日にICT(情報通信技術)活用工事の現場見学会を開催した。見学会には、東諸管内の建設業者や土木事務所の職員ら約30人が参加し、レーザースキャナー計測器やICT建機を活用した工事の進め方などを確認した。
見学会は、高岡土木事務所が発注し、藤元建設が施工する「浦之名川樹木伐採及び河道掘削工事」で開催した。河川の流下能力を確保する事前防災対策として、大淀川水系浦之名川(宮崎市高岡町浦之名)で土砂掘削や樹木伐採を施工する。
挨拶で高岡土木事務所の行田明生所長は、国土交通省の直轄工事を中心にICT土工が実績を上げ、その効果も確認されていることを指摘。県に於いてもICT活用工事の工種を拡大し、データを管理・保存して効率的な維持管理に繋げていく中で、「ICT活用工事の効果を実感し、多くの方に取り組んでもらいたい」と呼び掛けた。
現場代理人を務める藤元建設の広瀬英明氏は、工事概要及び施工状況として、高さ10mを超える竹林を伐採した後、レーザースキャナー計測器で現況測量を行ったことを説明。使用した計測器は、測量を行いながら、手持ちのタブレットでリアルタイムで現況をデータ化できるため、測量の漏れを防げることなどを紹介した。
掘削工事に関しては、マシンコントロールのブルドーザとマシンガイダンスのバックホウを導入し、バックホウで掘削した後、ブルドーザで仕上げ掘削を行った施工の流れを紹介。ブルドーザの操作は前後進だけであり、丁張り不要で法面を整形できることなどを踏まえ、「ICT建機の便利さを感じている」などと話した。
一方、起工測量や設計データの作成、出来形計測等に協力している株式会社大坪計量器の担当者は、レーザースキャナーの特長や3Dモデルの作成方法、マシン内部のコントロールボックスの表示について説明。「出来形を色分けしたヒートマップを作成することで、現地計測の簡略化や検査作業の効率化を図ることができる」と話した。
説明後には、現場で使用しているICT建機に参加者が試乗し、担当者から説明を受けながら実際に操作した。ICT機械を初めて使用した広瀬氏は、「事前の準備等が面倒と考えていたが、実際にやってみてイメージががらりと変わった。施工スピードも早く、仕上げも綺麗。未経験の方にも是非トライしてもらいたい」と述べた。
県発注の工事では、施工中も含めて約90箇所でICT活用工事の実績がある。取り組みを推進するため、県は今年4月から1500万円以上の土工を含む土木一式工事に対象を拡大し、出来形管理及びデータ納品に要する費用増に対応するための補正係数を設定したほか、小規模なICT施工の積算に見積りを活用できるようにしている。