パシフィックコンサルタンツ(PCKK、高木茂知代表取締役社長)から独立した国際事業会社を今後2年程度をめどに設立する―。
「長期経営ビジョン2030」で、グループ企業全体の売上目標1000億円を掲げていた同社は14日、その4分の1の250億円を国際事業で達成するなどとした「新たな国際展開への挑戦」を発表した。これまでの“国内”と“海外”という意識を転換し、「OverseaからInternational」のキャッチのもとで世界を市場と捉え、国際社会の一企業として、真のInternational企業を目指す考えだ。
基本戦略の一つは、国際展開モデルの転換。EC(エンジニア・コンサルティング)、MC(マネジメント・コンサルティング)プラスP2M(プログラム&プロジェクト・マネジメント)といった事業受注型だけでなく、自ら国内外とのパートナーとの事業創出を目指していく。
これまで培った技術と、豊富な経験を有する人材を生かし、開発エンジニアリングに加え、多様な社会ニーズに応える都市ソリューションを提供。国内のサービスプロバイダとの連携や、イノベーション企業への投資などによる収益事業への参加も選択肢に加える。
主として技術に特化したサービスを提供してきたこれまでの事業モデルも見直す。
得意とする建設技術の提供と、国内のPFI・PPPコンサルティングなどで培ってきた経営・財務・法務・技術などのノウハウに加え、これまでPCKKグループが構築したネットワークや、P2Mをワンストップで提供する「包括コンサルティング」を提供し、他社との差別化を図る。
「世界」を市場と捉えた“市場戦略”にはアライアンスが欠かせない。同社はすでにフランスのIngerop社や、中国の中科院建築設計研究院有限公司、韓国のDOHWA ENGINEERING CO.,LTDなど各国の有力なコンサルタント系企業と業務提携関係にあるが、国際展開戦略の実現への一歩として、アジア地域を統括する100%出資子会社「PCKK International Asia」を2016年8月に設立。すでに協働の関係にあった、交通インフラなどに強みを持つ米国のコンサルタント会社Parsons社とも近く業務提携することにしている。
こうした国際展開戦略ではPCKKの経営資源とノウハウを最大限活用していく。同社には08年以降、32カ国で国際プロジェクトを実施した実績があり、国際業務に従事した社員数129人(第65期決算時点)、TOEIC800点以上の社員数60人、外国人社員36人(11カ国)―などの人的資源も獲得、育成している。
当面は、ODA(政府開発援助)や国内の顧客をターゲットとしつつ、段階的に外国政府・民間企業、国外の事業パートナーへと顧客基盤を拡大し、30年には国際事業会社だけで250億円の売り上げ達成を目指していく。