一般財団法人宮崎県建築住宅センター(藤原憲一理事長)は、11月15日と16日に県内2会場で研修会を開催した。テーマは「熊本地震から学ぶ建物の地震対策」。16日の宮崎会場には建築関連業務に携わる技術者ら約120人が参加し、熊本地震に於ける建物の被害状況やその対応、住宅金融支援施策などについて熱心に学んだ。
主催者を代表して挨拶に立った藤原理事長は、熊本地震で被災した住宅の被害要因等に触れ、「住宅の安全性を最優先に考えることが重要になる」と防災・減災の重要性を訴えた。その後、宮崎県県土整備部建築住宅課の田河眞司主幹が「建築行政・木造住宅耐震関係補助制度」と題して、耐震関係政策や補助制度の概要などを紹介した。
講師として招かれた熊本大学の牧野雄二名誉教授は、「熊本地震の被害状況とそれから学ぶもの」と題して講演。大きな被害を受けた南阿蘇に在住する牧野名誉教授は、多数の被害住宅を調査した結果を踏まえ、「新耐震基準を遵守している建物は大破していない」「耐震改修済の建物も新耐震基準以降の建物と同等」と所見を述べた。
一方で、建物を無被害とするための設計手法や斜面崩壊・液状化等の土木被害への対応を今後の課題に挙げたほか、地震後に於ける建築関係組織の対応として、熊本県建築住宅センターや熊本県建築士会、熊本県建築士事務所協会、熊本建築審査センター、熊本建築構造評価センターなど関係機関の活動内容を紹介した。
研修会ではこのほか、住宅金融支援機構九州支店鹿児島センターの三宅裕司氏が「住宅金融支援施策と熊本地震」と題して、被災住宅の再建支援等について説明。また、住宅支援機構の下川陽輔氏が、自社商品である損害保険「まもりす倶楽部」や熊本地震で行った保険法人としての対応内容等について説明を行った。