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重金属類のリスク評価など学ぶ 地質調査業協会が技術講演会

 一般社団法人宮崎県地質調査業協会(小畠淳二会長)は9日、宮崎市内で技術講演会を開催した。建設技術者の地質及び地盤に関する知識や技術の向上を目的に開催しているもの。会員内外を問わず、県内建設企業や行政機関の技術者ら約140人が参加し、本県河川行政の現状や重金属類のリスク評価手法などを熱心に学んだ。

 挨拶で小畠会長は、地盤に関わる自然災害が多発していることや建設発生土に有害物質が含まれる事例が散見されることを踏まえ、「地質や地盤の防災・減災対策に加え、環境保全対策も重要度を増している」と指摘。協会として「技術力の向上と質の高い成果品の提供に努めていくことが重要だ」と述べ、技術講演会の果たす役割を強調した。

 基調講演では、宮崎県県土整備部河川課の阿佐真一課長が宮崎県の河川行政をテーマに講演。県が取り組む治水対策や地震・津波対策の概要を説明したほか、県管理区間の河川改修率が現状で48.8%と5割にも満たないこと、予算上の制約により年間で全体の0.3%程度しか改修事業を実施できていない現状について言及した。

 また、県や流域自治体、企業、住民が連携して取り組む耳川水系総合土砂管理の概要、水防災意識社会再構築ビジョンへの取り組みについても説明。各地に甚大な被害をもたらした平成28年台風16号に関連して、今年度の災害査定として既に約20億円が決定し、最終的には80億円程度まで達するとの見通しも示した。

 一方、「自然由来重金属類の土壌での挙動と溶出リスク評価」をテーマに講演した伊藤健一氏(宮崎大学国際連携センター)は、自然由来重金属が土木工事に於いて普遍的な問題であり、汚染の程度や健康被害へのリスクを正しく評価した上で合理的に対処することの重要性や、住民等に対するリスクコミュニケーションの重要性を説いた。

 このほか、科学的見地による自然由来重金属の存在形態や地下水等への溶出挙動、リスク評価、溶出試験法、対策材料や対策方法等についても説明。豊洲新市場の移転予定地に於ける土壌・地下水の汚染問題が大きく報道されるなど、時宜を得た今回の技術講演の内容に、参加者一同は熱心に聞き入っていた。

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