宮崎県病院局が進める県立宮崎病院再整備に関して、新病院の建築及び設備の仕様の見直しやエネルギーサービス事業の導入等により、約40億円のコスト縮減(今年4月時点)を見込んでいることが分かった。縮減額は、本体工事等で約33億円、付帯工事等で約8億円。新病院建設に係る入札等も含め、最終的に総額50億円程度の縮減を目指す。
老朽化や狭隘化の解消、災害対応力の強化、診療機能の向上等を目的に、敷地内に病院を全面改築するほか、一部の施設は改修して活用する。基本設計段階の新病院の規模は、鉄骨造(免震構造)地上8階及び塔屋1階、延床面積4万8140m2。宮崎県地域医療構想に基づき、新病院の稼働病床数は現病院から45床減の490床とする。
近年の資材費及び人件費の高騰、新病院の延床面積の増床等を背景に、当初計画から建設費が増大したため、病院局はコスト抑制策の立案及び発注者へのアドバイス等を行うCM(コンストラクション・マネジメント)業務を昨年8月に委託。設計段階に於ける仕様の見直しや発注区分の工夫、民間事業者等との対話に取り組んでいる。
基本設計完了時(平成28年10月)に277億6000万円としていた本体工事等に関しては、建築や設備の仕様変更等に加え、新病院の空調用熱源機器等の整備・運用・管理を一体的に行うエネルギーサービス事業の導入等により33億1000万円を圧縮。コスト縮減後の事業費を244億5000万円と試算する。
縮減額の内訳は、建築工事が6億3000万円(内装4億6100万円、外装1億5700万円、その他1200万円)、電気工事が8億5000万円、給排水衛生工事が5億6500万円、空調工事が12億4200万円、外構工事が1億6300万円。一方で、CM業務等の費用として1億4400万円を増額する。
また、基本設計完了時(前同)に28億9000万円としていた付帯工事等に関しては、既存施設の改修範囲を見直すことで7億9000万円を縮減する。医療機器整備や開院支援に関しては基本設計完了時と同額(73億7000万円)としているが、診療機能に応じた機種の選定や購入時期の調整(平準化等)に努める。
日建・コラムJVで進む実施設計の委託期間が今年10月末であることを踏まえ、11月~12月頃に新病院建設工事を公告し、30年度末までに工事請負契約を締結する見通し。今年度予算で、設計費や工事費等を含む県立宮崎病院改築事業として、約228億を限度額とする債務負担行為(期間=30年度~33年度)を設定している。