日南市は、一般会計予算額を253億6000万円とする平成30年度当初予算案を発表した。一般会計予算額は前年度比で1.6%増となるが、前年度当初予算は骨格予算として編成していたため、肉付け後の比較では0.6%減となる。公共事業費等を含む投資的経費は20億2577万円で、肉付け後の比較では20.0%増となった。
平成30年度の当初予算案は、日南市重点戦略プランに基づく事業を基本とし、計画のコンセプトに掲げる「創客創人」によるまちづくりを戦略的に推進する予算とする。具体的には、▽地元産業の活性化▽子育て環境の更なる充実▽いつまでも安心と生きがいを実感できる暮らしの実現▽未来を担う子どもたちの育み―に財源を重点配分する。
一般会計予算額は前年度比1.6%増の253億6000万円。このほか、簡易水道や公設合併処理浄化槽等を含む特別会計の総額は148億8650円、病院事業や公共下水道事業、水道事業を含む企業会計の総額は63億2418万円で、予算全体の規模は465億7068万円(同1億0271万円減)となる。
一般会計を性質別に見ると、普通建設事業と災害復旧事業で構成する投資的経費は20億2577万円で、肉付け後の比較で20.0%の増額となった。内訳は、普通建設事業費が18億1158万円(補助9億3301万円、単独8億7857万円)で22.8%増、災害復旧事業費が前年度と概ね同額の2億1419万円。
主な建設関連事業では、日南総合運動公園野球場スタンド改修事業に2億0637万円、し尿処理施設整備事業に4億6170万円、市営住宅長寿命化事業に8712万円、日南振徳高等学校通学路整備事業に1億2540万円、日南下水終末処理場改築更新に3億2500万円、水道配水管改良及び更新等整備事業に2億1304万円を計上した。
■主要事業概要
日南市の平成30年度当初予算案における主要事業の概要は次のとおり(関係分のみ、数字は事業費、単位=千円)。
*一般会計
▽東九州自動車道整備促進事業
4,553
重要港湾油津港と連動した産業・経済活動の発展を図るため、清武南~日南北郷間の早期完成と油津~夏井間の早期事業化に向けて、官民一体で更なる運動に取り組む。
▽(新)農林水産物加工施設整備事業
3,600
地域経済の活性化を図ることを目的に、地元の魅力ある農林水産物の付加価値向上に取り組む事業者に対し、加工施設や設備を整備する費用の一部を助成する。
▽移住促進空き家再生推進事業
9,088
旧飯田医院など飫肥地区空き家利活用等を目的としたコーディネーターを配置し、飫肥地区のまちなみ再生及び地域の活性化を図る。事業内容=移住促進空き家再生推進事業委託料等
▽伝統的建造物群保存事業
5,737
飫肥伝統的建造物群保存地区内の建造物等の修景を行い、景観の向上を図る。事業内容=旧伊地知家修景(塀修景補助)、旧美濃田家修景(石垣・生垣修景補助)
▽中心市街地を活かす油津まちづくり事業
4,627
中心市街地活性化事業終了後、地域が自走できる体制づくりやフォローアップに資するため、エリアマネジメントを実施する。
▽津波対策緊急整備事業
18,737
避難困難地域の解消を図ることを目的に津波緊急避難場所等の整備を実施する。事業内容=津波緊急避難場所整備5箇所(鶯巣・伊比井・風田・上方・南郷中央町)、防災資機材整備事業補助金(大浦・小目井・鵜戸・伊比井自治会)
▽多面的機能支払交付金事業
122,655
農業者及び地域住民が協働して農地の維持管理、農業用施設の保全管理及び長寿命化を図る活動に対して支援を行う。
▽救命率向上AED設置事業
2,206
救命率の向上を図るため、市内公共施設やコンビニエンスストア等に設置したAEDの管理等を行う。
▽肉用牛生産基盤強化推進事業
5,997
繁殖農家等の経営規模拡大のための牛舎建設や飼料調整用機械導入に対して経費の一部を補助する。
▽中山間地域等直接支払交付事業
44,898
耕作放棄地の防止や多面的機能の確保等、適正な農業生産活動の推進を図るため、営農活動に取り組む集落に対して助成する。
▽(新)基幹水利施設ストックマネジメント事業
8,375
幹線用水路改修の県営事業に対する負担金。事業内容=東郷地区長寿命化対策(測量・詳細設計)
▽地下排水制御システム(フォアス)整備事業
1,675
地下排水制御システム(フォアス)整備の県営事業に対する負担金。事業内容=吉野方地区実施計画書作成
▽農業基盤整備促進事業
10,250
農産物運搬時の荷傷み防止及び維持管理費節減による安定化を図るため、大窪地区(L=200m)の農道舗装を行う。
▽公有林整備事業
40,965
市有林の循環型森林経営を維持するため、伐採・植栽・下刈等の森林施業を適切に実施する。持続可能な森林として、緑の循環認証会議(SGEC)の森林認証を取得したことから、森林認証制度に基づく定期検査を実施する。
▽有害鳥獣被害防止対策事業
14,964
有害鳥獣から農作物を守るため、有害鳥獣駆除を行う有害鳥獣駆対策協議会への支援及び農家等が実施する電気柵等の設置に対して助成を行う。
▽(新)飫肥杉一貫施業普及促進パイロット事業
6,500
伐採から造林までを一貫して行う一貫施業システムを普及促進させることを目的としたパイロット事業に取り組み事業体に対して支援を行う。
▽(新)飫肥杉マイホーム建築支援事業
8,000
旧消防訓練場跡地に飫肥杉住宅を建築する施主に対して、住宅見学会の開催を条件として建築費用の一部を助成する。
▽漁港事業負担金
31,700
市内漁港改修等の県営事業に対する負担金。油津漁港=水産物供給基盤機能確保・漁港環境整備、夫婦浦漁港=漁港施設機能増進・長寿命化整備、大堂津漁港=漁港施設機能増進・長寿命化整備、鵜戸漁港=長寿命化整備、鶯巣漁港=長寿命化整備、油津漁港・目井津漁港=漁港施設機能強化
▽小・中学校施設整備事業
55,871
小学校及び中学校の施設整備を行う。小学校整備事業(41,396千円)=大堂津小学校14号棟屋根改修工事、南郷小学校17号棟便所改修工事調査設計委託等、学校空調整備事業(2,970千円)=飫肥小学校空調設備設置工事調査設計委託、中学校整備事業(11,505千円)=鵜戸中学校10号棟外壁改修工事調査設計委託等
▽(新)日南総合運動公園野球場スタンド改修事業
206,371
老朽化が著しい野球場のスタンド及び外野芝等を改修する。事業内容=スタンド改修工事184,500千円、スタンド改修に伴う備品購入12,699千円、芝張替え及び芝と土壌面の段差解消9,172千円
▽し尿処理施設整備事業
461,704
循環型社会形成推進地域計画に基づき、平成29~31年度までの3箇年で、既存のし尿処理施設を資源化設備を備えた汚泥再生処理センターにリニューアルする。
▽環境衛生対策事業
1,532
小規模給水施設の水質検査等を実施するとともに、施設改善事業に対する経費を小規模水道組合へ補助する。事業内容=滅菌器・バルブ取替工事(向田水道組合)外
▽市営住宅長寿命化事業
87,129
既存住宅の延命化と高齢者等の社会的弱者の住宅ニーズの動向に対応するため、市営住宅の改修を行う。対象住宅=松原第8アパート(20戸)、事業内容=間取りの変更・住戸内段差解消・設備改修・屋上防水改修等
▽(新)防災行政無線デジタル化整備事業
12,385
平成34年12月から施行される新たな電波の規格に対応する防災行政無線の導入を図る。事業内容=防災行政無線デジタル化実施設計業務委託料
▽農村地域防災減災事業
1,222
ため池改修の県営事業に対する負担金。事業内容=池ノ平ため池堤体工・黒いわため池堤体工
▽急傾斜地崩壊防止事業負担金
8,250
土砂災害等を未然に防ぐための急傾斜地崩壊防止の県営事業に対する負担金。実施地区=大川田地区・宮浦地区・中栄松地区・片平地区・永道浜―4地区、桃の木―1地区
▽海岸事業負担金
13,000
高潮災害等による破損・越波する恐れがある老朽化した海岸施設の護岸等整備の県営事業に対する負担金。事業内容=伊比井海岸護岸工
▽急傾斜地崩壊対策事業
45,000
急傾斜地崩壊による災害防止を図るため対策工事を行う。対象地区=西寺地区・贅波地区、事業内容=法面工事・電柱移設補償
▽消防施設器材整備事業
64,367
榎原分団第4部拠点施設整備26,573千円、消防団車両更新27,587千円、消火栓設置負担金5,700千円外
▽地域安全対策事業
9,423
防犯灯の適正な管理及び計画的な整備を行うため、新規設置やLED灯への取り替え、電気代の一部助成を行う。
▽地籍調査事業
167,429
国土調査法に基づき、一筆毎の土地について所有者、地番、地目を調査するとともに、境界の位置と面積を測量する。事業内容=富土Ⅱ地区・酒谷Ⅲ地区・東郷地区
▽港湾事業負担木金
130,000
港湾改修の県営事業に対する負担金。油津港=岸壁改良・臨港道路改良・物揚場改良・埠頭舗装、外浦港=岸壁改良・物揚場補修
▽単独分改良及び舗装事業
5,000
道路幅員が狭く、車両の離合が困難な路線の小規模な道路拡幅や歩道整備を行う。対象路線=古川住宅2号線他2路線、事業内容=側溝改修等
▽単独道路改良事業
47,600
地域住民の生活道である路線の改良工事を行う。対象路線=通水札ノ尾線14,000千円、口ヶ野線13,000千円、坂元線13,000千円、楠原住宅3号線
▽ふるさと交流道づくり事業
40,100
生活に密着した市道の整備を行う。改良工事等(12,400千円)=仮屋狭閒線・大平線、舗装等工事(27,700千円)=日南駅西弁分線外10路線
▽日南振徳高等学校通学路整備事業
125,400
県立高等学校の統合により生徒数が増加し、交通事業が大きく変化したため、道路拡幅や自転車道及び歩道の整備を行う。対象路線=今町仮屋線、事業内容=改良工事・用地購入費・補償費等
▽道路整備事業
58,600
県南地区の物流、緊急時の避難路として重要な路線の舗装補修を行う。対象路線=山ノ口上塚田線、上塚田寺村線、昼野曽和田線
▽(新)市道トンネル長寿命化事業
19,000
市道のトンネルについて5年に1回の近接目視点検を行い、健全性の診断及び補修を実施する。事業内容=市内7箇所の点検調査
▽市道橋りょう長寿命化事業
113,000
市道の橋りょうについて5年間に1回の近接目視点検を行い、健全性の診断及び補修を実施する。事業内容=橋りょう長寿命化修繕計画策定、詳細設計及び補修工事
▽(新)林道橋りょう長寿命化事業
林道の橋りょうについて5年間に1回の近接目視点検を行い、健全性の診断及び補修を実施する。事業内容=林道橋りょう18橋の点検調査
▽公共施設等総合管理計画推進事業
4,354
市が保有する公共施設等の適正な維持管理や更新、長寿命化等を計画的に推進するとともに、施設の最適な保有量及び配置について検討を進めるため、公共施設マネジメント支援システムを導入する。
*特別会計
▽簡易水道事業
19,000
大島地区簡易水道施設の維持管理経費及び新たな水源確保のためのボーリング調査を行う。
▽農業集落排水事業
21,500
内之田地区及び坂元地区の環境保全を図るための農業集落排水施設維持管理等を行う。事業内容=施設の安定稼働外
▽漁業集落排水事業
35,000
富土地区及び夫婦浦地区の環境保全を図るための漁業集落排水施設維持管理等を行う。事業内容=施設の安定稼働外
▽公設合併処理浄化槽事業
150,000
公共下水道及び集落排水以外の地域に於ける公共用水域の水質保全を図るため、公設で合併処理浄化槽の整備を行う。30年度設置予定基数=110基
*公共下水道事業会計
▽吾田汚水1号幹線・枝線管路施設及び星倉汚水枝線管路施設
180,000
生活環境の改善等を図るため、仮屋講地区に於いて下水管布設工事、地質調査を行う。事業内容=開削工法(VUφ150㎜)709m、推進工法(HPφ250㎜)168m、詳細設計業務1式、地質調査業務1式、水道補償等1式
▽日南下水終末処理場改築更新
325,000
適正な下水処理を図るため、老朽化した設備の改築更新と耐震補強工事を行う。事業内容=水処理施設1式、汚泥処理施設1式、耐震補強工事1式
▽油津1号幹線及び4号幹線管路施設
55,000
園田地区に於いて老朽化した管路の改築更新を行う。事業内容=更生工法(φ1500㎜)42m、同(φ1350㎜)31m
▽油津ポンプ場及び影平雨水ポンプ場
61,000
適正な下水処理を図るため、老朽化した設備の改築更新と耐震補強工事を行う。事業内容=改築更新設計業務1式、耐震補強工事1式
▽面整備 95,000
下水道区域の拡大を図るため仮屋講地区に下水管の布設を行う。事業内容=開削工法(VUφ150㎜)665m、詳細設計業務1式、水道補償等1式
▽油津1号幹線管路施設
3,500
園田地区に於いて老朽化した管路の改築更新を行う。事業内容=マンホール更正詳細設計修正業務1式
*特定環境保全公共下水道事業会計
▽面整備 4,000
郷之原地区に下水管の布設を行う。事業内容=開削工法(VUφ150㎜)20m、取付管(VUφ100㎜)2箇所
▽全体計画見直し及び事業計画変更
7,680
農業集落排水施設を北郷下水処理区に移管するため、債務負担により全体計画見直し及び事業計画の変更を行う。
*水道事業会計
▽配水管改良及び更新等整備事業
213,040
給水区域において水道水の安定供給を図るため、管路網の整備や老朽化した配水管の布設替えを行う。事業内容=配水管整備、ポリエチレン管(HPPE・φ30~150)2901m、ビニル管(HIVP-RR・φ75)160m、ステンレス管(SUS200A)15m、その他配水管等整備
▽耐震化対策事業
40,000
基幹施設の耐震強化を図るため、基幹配水管の布設替えを行う。事業内容=吾田配水池系基幹配水管整備
▽日南市水道事業再編事業
200,200
旧南郷地域上水道と旧日南地域上水道事業の一元化を図るため、水道施設整備を行う。事業内容=隈谷送水管整備
▽簡易水道再編推進事業
38,300
旧富土地区簡易水道と旧伊比井地区簡易水道の再編統合のため、配水施設整備を行う。事業内容=配水管整備、国道220号伊比井トンネル富土坑口側配水管整備、計画道路及び伊比井側現道配水管整備
*病院事業会計
▽建設改良事業
20,000
老朽化した医療機器等の更新を行う。
【おわり】