国土交通省の「中長期的な地籍整備の推進に関する検討会」は1月24日の会合で、地籍調査の効率化を図るための中間報告を大筋で固めた。一筆地調査(準備作業、現地作業)の効率化や新技術の導入により、地籍整備の進捗率を高めることを提言している。提言を受け同省は、新技術導入と法制度を審議するワーキンググループを3月に設け、今秋まで分野別に詳細を詰めることを報告した。
全国の地籍調査の進捗率は52%(2016年度末時点)。10年度から10年間の目標である2万1000平方㌔㍍に対して16年度末の実績値は7193平方㌔㍍と3分の1にすぎない。
中間報告では、一筆地調査の効率化や新技術の導入で地籍整備を加速させる必要性を指摘。このうち一筆地調査では、登記簿で土地所有者が判明しないケースがあり、追跡調査に労力とコストが割かれている。このため、土地所有者の所在が不明で、調査への立ち会いが困難な場合、立ち会いを簡略化したり、立ち会いを求めない仕組みをつくる。
新技術については、15年度から基準点測量や地籍測量の一部を省略できるGNSS測量を導入している。今後さらに、リモートセンシング技術、レーザー測量技術、モバイルマッピングシステムなどの導入を検討する。調査面積が広大な山村部の調査にレーザー測量技術などを活用し、現地立ち会いをせずに境界確認する手法も検討する。
都市部の地籍調査では、用地実測図、境界確定図、地籍測量図などの民間測量成果の活用を促進する。官民境界等先行調査で得られた測量成果を民間にも活用してもらい、位置基準の統一を図った上で、民間測量成果を蓄積・共有できるプラットフォームとオープンデータサイトを構築する。
同省は、中間報告を踏まえた分野別のWGを設置し、議論の成果を今秋にまとめる検討会の最終報告に盛り込む。その後、国土審議会に発足させる小委員会に議論の場を移し、19年7月までに中間答申を得る。20年度を初年度とする「第7次国土調査事業十箇年計画」に答申を反映させる他、20年の通常国会に関係法案を提出する。