建設ネット企画画像 四角 四角

建設キャリアアップシステム 登録開始まで3カ月

B00051590_1   B00051590_2   B00051590_3

▲左から年齢階層別賃金水準、事業者の利用料金、事業者規模別のモデル試算

 ※戸塚祐介 新年特集(建設キャリアアップシステム) 見出し=建設キャリアアップシステム  登録開始まで3カ月 図3点(賃金比較、モデル料金、料金表)、賃金比較の絵解きは「50歳台まで賃金が上昇カーブを描く製造業に対し、建設業は30歳台後半から横ばいになる。」 モデル料金と料金表はメールで送信します。》

 全ての技能者・事業者の登録、全ての現場で就業履歴の蓄積を目指す―。2017年11月、建設キャリアアップシステム運営協議会は、このシステム登録の目標を堅持することを関係者で改めて確認するとともに、目標数値を前提とする利用料金を決定した。長年にわたって建設生産を支えてきた高齢層の退職者数は年々増加し、若年入職者の確保はいよいよ喫緊の課題になっている。システム登録はこの課題を解決するために建設産業に何をもたらすのか。技能者320万人の就業履歴を蓄積し、建設産業を支えるインフラとなるシステムの登録開始まで3カ月。システム構築の意義、登録手順、利用方法などを整理した。

■システム構築の意義

 建設業への新規入職者数は、この20年でピーク時(1997年)の半数程度まで減少している。いったんは入職した若年層の離職率も高く、2014年3月に建設会社に就職し、3年以内で離職した高卒者の割合は47.7%に上る。
 製造業では50~54歳のピークまで賃金は上昇し続けるが、建設業は30代後半でピークに達し、40台以降に養われる現場管理や後進への指導のスキルが賃金に反映されていない。
 「建設技能者としてのキャリアが見通せない」。建設業の入職者が減り、離職者が多い要因の一つだ。
 建設キャリアアップシステムでは、真正性を確認した技能者情報(本人情報、保有資格、社会保険加入状況など)を登録した上で、技能者に「キャリアアップカード」を交付。各現場に設置するカードリーダーでカードを読み取り、技能者ごとの現場入場実績を日単位で蓄積する。これにより、技能者がどんな資格を持ち、どの現場に何日就労したかを把握できるようにする。
 業界統一ルールで蓄積された経験と技能に応じて技能者の賃金が上昇し、技能者本人も技術研さんに励む。システム構築には、建設業に入職した若年層がキャリアルートを描ける環境を整備する狙いがある。

■事業者のメリット

 一方、現場を管理する元請け企業、技能者を雇用する専門工事業にはどのようなメリットがあるのか。
 元請け企業は「社会保険の加入に関する下請け指導ガイドライン」で、下請け企業・技能者に対して現場指導の役割を担うとされている。ただ、加入義務がある社会保険は事業所の形態によって異なる。システムに登録された本人情報を確認すれば、社会保険の加入状況を容易に確認できるようになり、確認作業を効率化する効果が生まれる。
 元請け企業は、現場管理の効率化も期待できる。システムを活用すれば、登録された事業者・技能者情報を反映した施工体制台帳や作業員名簿の出力が可能で、書類作成の手間が軽減される。
 専門工事業者は、技能者の採用時に資格情報や就業履歴を簡易に確認できる。雇用する技能者の経歴を顧客である元請けや上位の専門工事業にアピールすることもできる。

■登録手順

 システムの運営主体である建設業振興基金は、今年4月以降、技能者・事業者からの登録申請を受け付ける。
 技能者・事業者ともに、インターネット・郵送・窓口のいずれかで登録を申請する。申請窓口は、全国建設業協会に加盟する都道府県協会、全国建設労働組合総連合などに4月以降、設置される。
 技能者は、本人情報(住所、氏名、生年月日、性別、国籍)の他、▽社会保険加入状況▽建退共手帳の有無▽保有資格▽研修受講履歴―などを登録。技能者が所属する事業者が登録を代行することもできる。
 事業者は▽商号▽所在地▽建設業許可情報(許可番号、許可の有効期間、建設業の書類)―を登録する。事業者のうち元請け企業は、現場開設時に現場情報を登録し、カードリーダーも設置する。技能者は入場時にカードリーダーでキャリアアップカードを読み取り、就業履歴をシステムに蓄積させる。

■利用料金

 技能者の利用料金は申請方法によって異なる。郵送・窓口申請が3500円であるのに対し、インターネット申請は2500円と割安だ。有効期間は10年間(本人確認書類未提出者は3年)。
 事業者の利用料金=表参照=には、資本金に応じて5年に1度支払う「事業者登録料」、支社・営業所で技能者情報の常時閲覧や帳票出力をする際に支払う「管理者ID利用料」、元請けが現場登録時に支払う「現場利用料」の3種類がある。一人親方の事業者登録料は無料になる。
 国土交通省の試算(1年単位)によると、資本金1億円・完工高10億円の企業では、事業者登録料1万2000円、管理者ID利用料2400円、現場利用料2万1000円の合計3万5400円。
 資本金10億円・完工高100億円では、事業者登録料が4万8000円、管理者ID利用料が1万2000円、現場利用料が21万円の合計27万円になる見込みだという。

■周知・普及

 国交省と振興基金は、システムの大枠と利用料金が決まったことを受け、業界向けの説明会に本腰を入れる。今月1月から、地方ブロック単位の建設業団体向け説明会、各都道府県単位の事業者・技能者向け説明会を開催。2月にはインターネットを活用したe-ラーニングのサイトも立ち上げ、システムの登録手続きや利用方法を分かりやすく解説する。4月の登録開始時には、事業者・技能者向けのコールセンターも開局する。各現場で技能者の就業履歴を蓄積し、システムの運用が始まるのは18年10月だ。