▲施設のイメージ図
東九州自動車道の川南パーキングエリアに隣接する町有地を活用し、地域振興の核となる利便施設(直売・情報発信施設)の建設を計画する川南町は、施設整備に係る基本計画を策定した。休憩・情報提供施設や物販施設、軽食コーナー、事務所等の機能を備えた施設の計画面積を1200m2程度と試算し、概算事業費は約5億円を見込む。策定した基本計画の内容を踏まえ、ハード・ソフトの両面から具体的な取り組みを進めていく。
情報発信や地元物産品の販売を通じて、川南町の文化や歴史、食資源といった様々な魅力を広く全国にアピールして地域経済の活性化を図ると共に、有事の際の防災拠点としても活用することが事業の主な目的。川南PAの利用者や軽トラ市の来訪者へのアンケート結果などを踏まえ、基本的な施設整備の方向性を示した基本計画をまとめた。
施設の整備コンセプトは「地域経済の活性化を目指して、場をつくり、流れをつくり、人をつくるパーキングエリア」。基幹産業である第一次産業を核とした経済活動の活性化に向けて、多くの観光客やビジネスマンが立ち寄り、通過している川南PAに地域資源を最大限に活用した施設を整備し、新たな観光誘客による交流人口の拡大を図る。
施設の整備場所は川南PAに隣接した町有地。東九州自動車道の利用者の利便性を考慮し、川南PAと一体的な利用が可能となるよう、境界部分については可能な限りオープンな形状になるよう整備を検討する。また、川南PAから当該施設への利用者の円滑な誘導や雨天時等の対策として屋根付き通路の整備も検討する。
一方、計画の目標を達成するために当該施設に求められる機能に関しては、▽西都児湯地域の魅力を知ってもらう情報発信拠点▽西都児湯地域の豊かな食による新たな経済効果の創出▽少子高齢化や過疎化の対策となる新たな雇用の創出▽南海トラフなどの甚大な自然災害にも対応可能な防災拠点―などを掲げた。
具体的には、駐車場及びトイレ等の休憩施設、観光客や地元住民に有益な道路・観光情報等を提供する情報提供施設、地元の農畜産物や水産物を使った惣菜・弁当類や加工品等の直売施設、気軽に様々な食を楽しめる軽食コーナーなどのほか、有事の際に防災拠点として対応できるよう、防災倉庫や耐震性貯水槽、非常用発電設備も備える。
東九州自動車道と一般道の利用者数から推計する年間入込客数は約47万人。これを踏まえた各施設の面積を、▽一般駐車場=610m2▽トイレ=55m2▽休憩・情報提供施設=275m2▽土産品販売コーナー=170m2▽軽食コーナー=235m2▽テイクアウト商品販売施設=60m2▽倉庫=145m2▽事務所=225m2―などとする。
面積等に基づく概算事業費は約5億円。内訳は、調査設計費が3504万円(建築設計2053万円、工事監理1026万円他)、建築工事費が3億4211万円、防災施設整備費が4900万円(耐震性貯水槽2000万円、非常用発電設備2500万円他)、外構工事費が7586万円(造成工事1176万円、広場整備費2000万円他)。
年間入込客数により想定される年間売上高は約3億4千万円。一方、物品販売や飲食等の仕入れ、人件費、水道光熱費、維持管理費などの支出見込額は約3億1千万円で、年間3千万円程度の黒字を見込む。施設の管理・運営方式に関しては、地元企業や住民を中心に構成された団体組織等による指定管理者の導入が望ましいとしている。
現在は、これらの基本計画策定支援や施設等の基本設計を含む施設整備検討業務が建設技術研究所で進捗中であり、年度内を目途に基本設計をまとめる考え。来年度に実施設計業務を行う予定でいる。国の補助金の活用も視野に入れ、川南PAとの連結手続きの承認を待って着工するが、具体的な時期については現時点で未定としている。