国土交通省は、7月の九州北部豪雨で被災し、土砂・流木により埋塞した公共土木施設の災害査定を迅速化する。埋塞により災害査定に依然として着手できない河川を「全損」とみなし、本格的な復旧工事に早期に着手できるようにする。また、地方自治体が提出した一定の計画に基づいて行う災害復旧事業(一定災)を、被災した公共土木施設の洪水対応にも活用できるようにする。
九州北部豪雨で被災した筑後川水系は、土砂・流木で広範囲に埋塞しており、被災から4カ月弱を経た現在も災害査定に着手できない箇所がある。これらの箇所では、既に応急復旧は終えているものの、災害査定ができないために国庫負担金の交付が決まらず、本格復旧に着手できていない。
このため国交省は、被災した福岡県と大分県に災害査定の運用見直しについて通知。大量の土砂などの撤去を待たず、「全損」の扱いで災害査定を行い、災害復旧事業に早期に着手することを求めた。これにより、年内にも災害査定を終え、本格復旧が開始する見込みだという。
さらに、これまで大規模な被害を受けた堤防などにしか認めてこなかった一定災を洪水対応に適用する。自治体が計画を提出すれば、災害復旧事業の原則である原形復旧ではなく、河川拡幅などを伴う復旧事業を認める。