▲石井国交相と蒲島知事
国土交通省は、熊本地震の復旧・復興工事で新たな施工確保対策を講じる。熊本県内の阿蘇・上益城地域で入札不調が増加していることを受け、同地域内で11月1日以降に契約する直轄土木工事で復興係数を引き上げ、共通仮設費を現行の1.1倍から1.4倍に見直す。県発注工事でも同様の措置を講じる。九州地方整備局の職員を県に派遣し、設計変更などの技術指導も行う。
10月25日に国交省を訪れた蒲島郁夫熊本県知事の要望に応え、石井啓一国交相が新たな施工確保対策を講じる方針を表明した。
地震被害が大きく、下半期も復旧・復興工事の発注が続く阿蘇・上益城地域では、入札不調の発生率が他地域に比べて高い。主要道路が依然として通行止めで建機・資材などの運搬に影響が出ており、予定価格と実勢価格に乖離(かいり)が生じている懸念がある。
このため、阿蘇・上益城地域の直轄土木工事では、今年2月から県内の全地域で共通仮設費と現場管理費を1.1倍としている復興係数をさらに引き上げ、共通仮設費を1.4倍とする。これにより、予定価格が2~3%上昇する効果があるという。県発注工事でも11月1日から適用する見込みだ。
県・市町村が発注する営繕工事でも対策を強化する。今年1月に策定した「営繕積算方式活用マニュアル(熊本被災地版)」に、道路の通行止めによる資機材・建機の運搬費の増加が契約変更の対象であることを明記する他、施工計画書の作成例を提示して工事書類を簡素化しやすくする。
また、県が設置する災害復旧推進チームに九州地整の職員を派遣して技術支援も行う。砂防など歩掛りのない特定工種で、見積もり活用方式や設計変更などを指導する。