国土交通省は、登録基幹技能者を、建設業法の主任技術者の要件として認定することにした。登録基幹技能者には、「基幹的な役割を担う職種で10年以上の実務経験」を持つことなど、主任技術者を上回る要件を設けており、認定基準をクリアしていると判断した。11月上旬に建設業法施行規則改正のための省令を施行し、正式に主任技術者要件として認定する。主任技術者要件に明確に位置付け、登録基幹技能者の認知度の向上と普及促進につなげる。
建設業法に基づく主任技術者は公的資格を持たなくても、最終学歴に応じた実務経験(3~10年)があれば要件を満たすことができる。ただ、実務経験の具体的な内容を確認することが困難であるため、国交省は技術力を統一的に評価する資格保有者の配置を推進している。
国家資格のない業種では、試験の公平性・透明性や認知度に加え、専門知識・経験が主任技術者要件と同等以上である民間資格を主任技術者要件に認定する方針だ。
登録基幹技能者の資格者数は2017年3月末時点で5万8939人に上ることに加え、直轄工事や都道府県の発注工事でも総合評価方式で加点評価も受けている。また、登録基幹技能者講習の受講要件では▽基幹的な役割を担う職種で10年以上の実務経験▽3年以上の職長経験▽実施機関が定める資格の保有―と、主任技術者要件よりも厳しい要件が定められている。
同省は、登録基幹技能者が民間資格の認定要件をクリアすると捉え、建設業法上の主任技術者の要件に追加する。改正省令の施行後、全33職種の登録基幹技能者が建設業法のどの業種の主任技術者に対応するか整理し、現場での運用を開始する。
ただし、対応する業種は「土木一式」以外の専門工事の業種とする。また33職種のうち橋梁、トンネル、海上重機、標識・路面標示の4職種は、複数業種の実務経験を合算し、10年以上となれば受講要件を満たすため、単独業種で10年以上の実務経験を求める主任技術者よりも要件が低い。4職種の実施機関が規定・運用を見直した時点で主任技術者要件として認定する考え。
主任技術者要件に認定されると、登録基幹技能者のさらなる認知度向上や普及促進が期待できる。また、公的資格を持たず、実務経験年数で主任技術者となる登録基幹技能者は、各自の経歴書の代わりに講習修了証を提示すれば主任技術者要件を満たす実務経験があることを証明できるようになる。