前払金の使途を元請け経費(一般管理費等、現場管理費の一部)に拡大する特例措置を全国678の発注機関(10月1日時点)が導入していたことが、北海道・東日本・西日本建設業保証の調べで分かった。16年10月3日時点の471機関から約1.5倍に導入した発注機関が増えたことになる。国土交通省は今年3月、2016年6月に時限措置としてスタートした特例の1年延長を決めており、特例の延長を受けた市区町村に導入の動きが広がった。
前払金は、資材購入や労働者確保など公共工事の着工準備に充てることになっており、直接工事費、共通仮設費、現場管理費の一部(労働者災害補償保険料)にその使途は限定されている。
ただ、前払金が下請け・資材業者に支払われずに元請けの専用口座にとどまっていることを受け、公共工事の経済効果が早期に表れるよう、国交省は16年度に前払金の使途を拡大する特例措置を設けることを決定。
同省の直轄工事では、16年6月1日から17年3月31日までの時限措置として、前払金額の25%を上限に現場に常駐する社員や対象工事に携わる本支店社員の給与など、現場管理費と一般管理費等に充てる特例を設けた。同時に、総務省も地方自治法施行規則を改正し、各自治体の判断で前払金の使途を拡大できるようにしている。
10月1日時点で前払金の使途を拡大した発注機関は▽中央省庁7機関、独立行政法人・高速道路会社・国立大学法人26機関▽都道府県46団体▽市区町村599団体―の合計678機関。特例のスタートから1年以上が経過し、特に市区町村で前払金の使途を拡大する動きが進んだ。国交省は今年3月、この特例を18年3月末まで延長することを決めており、4月以降に制度を導入する発注機関も増えたとみられる。