▲写真は現場見学会、出前授業の模様
小林市に本社を置く株式会社緒方組(緒方英機代表取締役)は1月16日、同社が宮崎市内で施工する大淀川の河道掘削工事の現場で、地元高校生を対象とした現場見学会を開催した。宮崎日本大学高等学校総合進学科の2年生約30人が現場を訪ね、長距離遠隔無人化施工を導入した「未来の建設現場」を体験した。
現場見学会は、一般社団法人宮崎県建設業協会が県内の学生を対象に実施している出前講座の一環として開催したもの。緒方組は、同社が施工する「大淀川跡江地区外河道掘削(その6)工事」の現場で、株式会社コマツレンタル宮崎の協力のもと、ICT建機や衛星通信等を活用した長距離遠隔無人化施工に取り組んでいる。
現場見学会では、工事を発注した宮崎河川国道事務所宮崎出張所の村方伸一所長が、大淀川下流部に於ける治水対策の概要を紹介。過去の災害を例に、外水氾濫と内水氾濫の違いを解説するとともに、洪水時の水位を低下させるため、河道を掘って水が流れる面積を広くしていることをスライドを用いて説明した。
村方所長はこのほか、建設業の旧3Kのイメージを払拭し、「給与・休暇・希望」の新3Kへの転換に業界を挙げて取り組んでいることも説明。デジタル技術を最大限活用しながら、建設現場をオートメーション化する「i-Construction2.0」の実現に向けた取り組みの一つとして、遠隔施工技術を紹介した。
こうした説明を踏まえ生徒達は、現場から約2・4㎞離れた緒方組宮崎営業所で現場のバックホウを操作するオペレーターの模様をモニターで確認。その後、現場近くに移動して、コマツレンタル宮崎の担当者がICT建機の特徴を説明する中、無人で稼働するバックホウが河道を掘削している模様を見学した。
現場見学後には、緒方組宮崎営業所に移動し、実際に操作を行っている操縦席を見学。オペレーターの指導のもと、生徒の代表がバケットの操作に挑戦した。このほか、生徒と若手技術者の意見交換も行い、給与や休暇、必要な資格を尋ねる生徒の質問に対して、宮崎河川国道事務所と緒方組の若手技術者が回答した。
緒方組の緒方英隆常務取締役は、担い手の確保・育成に向けて、同社が新3Kに格好良いを加えた新4Kの実現に取り組んでいること、そのためにICTをはじめとする最新技術の導入が必須であることを強調。こうした取り組みを通じて、「若手をはじめとする様々な人材の確保に繋げていきたい」と意気込みを語った。
■建設業の魅力PR、宮崎建協が出前授業
一般社団法人宮崎県建設業協会は、緒方組の現場で行った見学会の開催に先立ち、同校で出前授業を行った。講師を務めた同協会の川浦幸治理事(龍南建設株式会社)が、建設業の現状や様々な工事の種類を説明し、仕事の魅力・やりがいを生徒達に伝えた。
川浦理事は、「きつい・汚い・危険」「単純作業・肉体労働」「怖いおじさんが多い」といった旧来の建設業のイメージを示す一方、若年層の入職促進に向けて、現在は新3K(給与・休暇・希望)の実現や機械化・IT化による作業の省人化が進み、働き方改革の推進に伴い、多くの女性が建設業界で活躍していることを紹介。
さらに、高度経済成長期に整備された建物やインフラの老朽化、人手不足及び少子高齢化などをキーワードに掲げ、今後ますます建設業が重要な役割を果たすことを説明した上で、昨今のAIの台頭を念頭に、建設業がAIに代替されにくい職種であることを踏まえ、「ホワイトカラーからブルーカラーの時代になる」と指摘した。
川浦理事は、自身が建設業に入職したきっかけなどを説明しながら、建設業の仕事の奥深さや楽しさなどを紹介。今回の授業をきっかけに、建設業に対する理解と見識を深め、建設業界への入職も選択肢の一つとして考えてもらうよう生徒達に呼び掛けた。
同日はこのほか、県内初となる高等特別支援学校の開設にあたり、宮崎県が整備を進める「特別支援学校寄宿舎建設主体工事」の現場も見学。工事を発注した総務部営繕課や、4つに分かれた工区をそれぞれ施工する株式会社志多組、丸宮建設株式会社、株式会社坂下組、株式会社緒方組が工事概要などを説明した。
宮崎県建設業協会では、建設産業の健全な発展や担い手の確保・育成、業界のイメージアップを図ることなどを目的に、若年者の入職促進や人材育成に係る各種事業を展開。県内高校に通う生徒を対象とした出前講座や現場見学会のほか、就業体験(実施主体は各地区協会)に積極的に取り組んでいる。