▲写真は防災訓練の模様
宮崎市は12月21日、大淀川河川敷の市民緑地広場をメイン会場に、行政や防災関係機関が一堂に集う3年に1度の「総合防災訓練」を行った。今年の訓練には、自衛隊や警察、消防のほか、宮崎市と防災協定を締結している建設関連団体など51の機関が参加。災害発生時に於ける初動対応や相互の連携体制などを確認した。
訓練では、日向灘で発生したマグニチュード9の巨大地震に伴い、宮崎市で最大震度7を観測し、大津波警報が発令された事態を想定。訓練開始と同時に、防災行政無線や防災メール、公式SNSを活用して、「姿勢を低く」「頭を守って」「動かない」という3つの動きで身を守る「市民一斉シェイクアウト訓練」を行った。
メイン会場では、宮崎地区建設業協会が倒壊家屋救助訓練に参加。家屋を押し倒した倒木を重機を使って除去し、障害物が無くなった倒壊家屋から自衛隊と消防が取り残された人を救助した。事故車両救助訓練に参加した宮崎県解体工事業協同組合は、車両を押しつぶしていた倒木を重機を使って除去し、自衛隊に作業を引き継いだ。
消火訓練に参加した宮崎地区生コンクリート事業協同組合は、コンクリートミキサー車を活用して、消火用水を現場付近に設置された簡易防火水槽に補給。水槽に集積した水利を活用し、消防と消防団が放水銃を用いて消火活動を行った。
メイン会場に隣接する防災展示コーナーでは、一般社団法人宮崎県電業協会宮崎支部が各ブースに電源を供給する訓練を実施。ブース展示も行い、地震を自動検知して遮断するブレーカーや、火元から離れた部屋にも音声で警報する住宅用火災警報器、停電と同時に自動点灯する保安灯、停電時も使用できる蓄電システムを紹介した。
一方、公益社団法人日本下水道管路管理業協会九州支部宮崎県部会は、訓練用の透明の小径管を設置し、リモコンで操作する自走式のTVカメラを使って、下水道管の内部を映像で確認するデモンストレーションを行った。同協会では、県内で下水道事業を行っている17自治体全てと、災害復旧支援協力に係る協定を締結している。
メイン会場ではこのほか、国土交通省九州地方整備局宮崎河川事務所による水門の遠隔操作訓練や電気・ガス事業者によるライフライン応急復旧訓練、支援物資輸送訓練、傷病者へのトリアージ訓練、炊き出し訓練などを実施。サテライト会場の宮崎公立大学では、避難所開設運営訓練や福祉避難所運営訓練、医療連携訓練を行った。
宮崎地区建設業協会の本部喜好会長は、「関係機関が一堂に集まって訓練を行う機会は少ない。今回の訓練を通じて、災害時の指揮系統や関係機関との連携など、縦と横の繋がりを確認し、いつ発生するか分からない災害に万全の体制で備えたい」と話した。