▲写真は延岡工業高校の生徒、設置したプレート
伝統的な治水技術である延岡市北川町家田地区の「霞堤」を実践的に学ぶ授業が、県立延岡工業高等学校で行われている。12月10日には、土木科の3年生7人が霞堤の歴史を伝えるプレートを設置。地域の治水技術と水害の歴史を再認識し、世代を超えた水害の記憶の承継を図るとともに、地域防災に対する意識を高めた。
霞堤は、堤防のある区間に開口部を設け、上流側の堤防と下流側の堤防が二重になるようにした不連続な堤防。戦国時代の武田信玄が考案したと言われている。洪水時には開口部から水が逆流して堤内地に湛水し、下流に流れる洪水の流量を減少させ、流域全体の安全を守る役割を担う。洪水後には、開口部から堤内地に湛水した水を排水する。
授業には、第一工科大学の本田泰寛教授と大正大学の寺村淳教授が講師として参加。生徒達はこれまで、家田地区の霞堤を見学したり、地形図上に霞堤の模型を作成するなど、伝統的な治水技術や過去の災害を学んできた。霞堤に関する課題研究の成果として、過去の洪水記録を後世に伝えるためにプレートの設置作業を行った。
家田地区には、1943年~2018年に起こった38回分の浸水水位を記録した標柱が設置されている。生徒達は、この標柱を測量機器(トータルステーション)で計測し、計測データに基づき水害の頻度や水位の傾向を分析。今回は、昨年8月の台風による浸水水位(標高11.1m)を記したステンレス製のプレートを標柱に設置した。
参加した生徒は、「昔ながらの土木技術を感じ、将来は安心・安全なまちづくりに携わっていきたい」「地元の先人が残してくれた貴重な記録なので、込められた思いと一緒に受け継いでいくべきだと感じた」などと話した。