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災害対応や連携体制など確認 道路啓開で建設団体も参加

      
▲道路啓開訓練の模様

 南海トラフ巨大地震を想定した2025年度の宮崎県総合防災訓練が、11月16日に都城市、小林市、えびの市、三股町、高原町の各会場で行われた。メイン会場の沖水川市民緑地では、建設関連団体による道路啓開訓練や警察・消防・自衛隊による救助・消火活動訓練などが行われ、災害発生時の役割や組織間の連携体制を確認した。

 県は毎年、災害発生時に迅速かつ的確な災害応急活動が実施できるよう、防災関係機関や各種団体等との協力体制の確立を図るとともに、地域住民の防災意識の醸成を図るため、各地で総合防災訓練を開催している。今年の訓練には、県や関係市町、自衛隊、警察、消防、医療機関、指定地方行政機関、指定公共機関、指定地方公共機関、協定締結団体・企業など約100機関から約1000人が参加した。

 訓示を述べた宮崎県の河野俊嗣知事は、激甚化・頻発化する自然災害への備えを強化する必要性を強調するとともに、N―net(エヌネット)や災害支援物資拠点施設といった様々な対策が進んでいることを説明。「訓練を通じて顔の見える関係を築き、実際に動いてみることで得られる気付きを今後の対策に活かしていきたい」と述べた。

 訓練では、日向灘沖でマグニチュード9クラスの巨大地震が発生し、がけ崩れによる道路の寸断や地震による家屋の倒壊が発生した事態を想定。道路啓開訓練では、多量の土砂が堆積した道路を都城土木事務所が封鎖。宮崎県測量設計業協会が、ドローンを飛ばして上空から被災箇所を確認し、宮崎県法面保護協会が安全性調査を行った。

 都城土木事務所から応援要請を受けた都城地区建設業協会は、現地調査の結果、二次災害の恐れがあると判明したことから、国土交通省九州地方整備局宮崎河川国道事務所が所有する簡易遠隔操縦装置(ロボQS)を取り付けたバックホウをコントローラーで遠隔操作して、被災箇所に堆積した土砂を迅速に撤去した。

 二次災害の危険性を排除したのち、フォークタイプのアタッチメントを装着した有人建機が、道路上に積み重なった倒木を道路脇に除去するとともに、別のバックホウで道路を敷き均し、宮崎県舗装協会が障害物を撤去した道路の清掃を行った。宮崎県測量設計業協会と宮崎県法面保護協会が安全性を確認し、道路封鎖を解除した。

 一方、救助・消火活動訓練では、警察や消防、自衛隊が連携し、座屈倒壊ビルや土砂埋没車両、多重事故車両からの人命救助に臨んだ。サテライト会場の山之口運動公園などでは、避難所開設運営訓練や災害ボランティアセンター運営訓練などを実施。これらの避難場所に、物流各社が支援物資を輸送する訓練も行った。

 メイン会場に隣接した防災展示ブースでは、宮崎県電業協会が発電機を設置し、各団体のブースに電源を供給するとともに、地震を自動検知して通電火災を防止するブレーカーなどを紹介。宮崎県建築協会は、パネルや模型実験を通じて、災害への備えや耐震改修の必要性を訴えるとともに、来場者に防災グッズを配布した。

 国土交通省九州地方整備局宮崎河川国道事務所は、照明車や対策本部車などを設置し、専用の防災服に着替えた子ども達がこれらの車両に試乗したほか、ラジコンのバックホウを子ども達が操作した。宮崎県県土整備部は、国土強靱化や流域治水、ミッシングリンクの解消といった社会インフラの整備状況とその効果をパネルで紹介した。

 都城地区建設業協会の長友俊美会長は、地域の安全・安心を守るため、災害発生にいち早く被災地に駆け付けて災害対応にあたる建設業の重要性や、地元自治体及び土木事務所などと連携し、そのための備えを日頃から行っていることを強調。「訓練を通じて、関係機関との連携等を確認し、災害に備える意識を持ち続けたい」と話した。