国土交通省九州地方整備局宮崎河川国道事務所は11月15日、宮崎市役所前の河川敷駐車場で水陸両用ブルドーザー(スイブル)の現場見学会を開催した。2回に分けて行われた見学会には、総勢13組の親子連れなどが参加。国が進める治水対策の概要について説明を受けたほか、子ども達がスイブルの遠隔操縦に挑戦した。
現場見学会は、11月18日の「土木の日」に合わせて、土木の仕事を身近に感じてもらおうと、同事務所が発注した「大淀川橘通地区河道掘削(第1工区)工事」の現場で開催。スイブルを活用して施工を請け負う九州建設工業株式会社、日本に5台しかないスイブルを保有する青木あすなろ建設株式会社がイベントに協力した。
水陸両用ブルドーザは、建設機械における遠隔無人化施工の先駆けで、陸上機械で施工が困難な水深7mまでの浅水域における水中土木作業で威力を発揮する。急な増水時も迅速な退避が可能、余堀量が少ない、仮設が不要、締固めながらの施工が可能といったメリットがあり、全国各地の河川・海岸工事等で活躍している。
イベントでは、宮崎河川国道事務所宮崎出張所の村方伸一所長が、大淀川下流部に於ける治水対策の概要を解説。2015年9月の関東・東北豪雨や05年台風14号を例に河川の氾濫について説明を行い、これを防ぐために河の底を掘って深くすることで、より多くの洪水が流せるようにしていることを子ども達に説明した。
村方所長はこのほか、建設業が旧3Kのイメージを払拭し、「給与・休暇・希望」の新3Kへの転換を図るとともに、労働力人口の減少を背景に、ICTを最大限活用しながら2040年までに省人化3割を目指していることを説明。「イベントを通じて建設業に対するイメージが変わり、興味を持ってもらえれば嬉しい」と話した。
スイブルの操縦体験では、担当者の指導の下、子ども達が手元のコントローラーを操作して、間近でスイブルが稼働する様に驚きの表情を見せた。参加者には、スイブルをバックにその日に撮影した写真をプリントしたオリジナルバッジなどが配布された。
宮崎市内から参加した小学5年生の男児は、「日本に5台しかないと聞いて参加したくなった。操縦してみて、とても楽しかった。将来、こういう機械を動かす仕事に就いてみたいと思った」などと話した。