株式会社竹中工務店九州支店と協力会社でつくる九州竹和会は11月11日、同社が新富町で施工する工場建設現場で「建設業魅力発信セミナー」を開催した。県立宮崎工業高等学校と県立日向工業高等学校の建築科2年生、総勢約60人を現場に招き、様々な職種の技能体験イベントなどを通じて、建設業の魅力をPRした。
同社の建設業魅力発信セミナーは、建設業の喫緊の課題である若年層を中心とした担い手の確保及び育成に向けて、九州竹和会及び安全衛生協力会が主体となり、九州管内の高校や専門学校の学生らを対象に各地で開催しているもの。
挨拶で九州竹和会の牧本浩明副会長は、「機械で大量生産する自動車等と異なり、ものづくりの中でも建築は一品物。様々な工程や技術、業種があり、多くの関係者が力を結集して造り上げる。完成した時の喜びは言葉では表せない」と建設業の魅力を説き、「今日の経験を今後の進路選択に役立ててもらいたい」と期待を込めた。
竹中工務店九州支店の三田村英明次長は、長く現場に携わってきた自身の経歴や忘れられないエピソードを紹介。「多くの職人が協力して建物が完成する喜びや、自分達が造った建物が後世に残る喜びを共感できる仕事が建設業」とした上で、「建物を造るものづくりの楽しさや自身の新たな一面を発見して」と呼び掛けた。
九州竹和会の会員による座学では、過去に竹中工務店と九州竹和会が手掛けた代表的な建築物を紹介するとともに、ゼネコンと専門工事業者の関係が、野球で云うところの監督とプレーヤーであることを説明。さらに、専門工事業者が躯体や仕上、設備などに分かれ、現場でそれぞれの役割を果たしていることを説明した。
宮崎地区安全衛生協力会の長瀬貴之氏(株式会社長瀬建設)は、CCUS(建設キャリアアップシステム)などを通じて、業界全体で技能者の処遇改善に取り組んでいることを説明。AIや機械化が進んだとしても、有能な職人がいなければ建物は造ることができないとして、「職人が社会に認められる時代になってくる」とまとめた。
一方、見学会を開催した作業場の担当者は、工事の概要を説明するとともに、様々な図面を組み合わせて、それらに情報を持たせるBIMの活用方法などを解説した。
技能体験では、九州竹和会の会員企業が個別に体験ブースを設置。足場体験では、事前に設置していた足場を歩きながら各部位の役割を学び、フルハーネスを装着することで墜落を防げることを学んだ。また、左官体験として、職人から綺麗に仕上げるためのポイントを学ぶとともに、型枠の建て込みや鉄筋の結束作業に挑戦した。
このほか、塗装前の下地処理と塗装体験、サッシ窓の組立取付体験、タイルの切断と貼り体験、壁石膏ボード及びタイルカーペット貼り体験、電気コンセントの結線と器具付け体験にも挑戦し、冷媒管フレア継手及びメカニカル継手の仕組みを学んだ。生徒達は、職人の手ほどきを受けながら、専門工事に対する理解と興味を深めていた。