宮崎県インフラDXコンソーシアム(黒木繁人会長)は、11月11日に宮崎市内で「次世代建設人材育成セミナー」を開催した。宮崎情報ビジネス専門学校の学生約90人を対象に、デジタル技術の活用が進む建設業界の現状を紹介したほか、未来の街づくりを考えるワークショップを通じて、会員企業と学生が交流を図った。
建設現場をオートメーション化するi-Construction2.0の推進や、新たな職域である建設ディレクターの登場など、建設分野に於けるデジタル化が急速に進む中、特にデジタル人材との交流を目的に開催したもの。イベントは、宮崎市内でコワーキングスペースの運営等を手掛けるATOMIca宮崎が運営した。
主催者挨拶で黒木会長は、建設業界でICTやDXの取り組みが急速に進み、「例えば、炬燵やベッドの中から重機を動かす世界がもうそこまで来ている」と指摘。人材確保の産業間競争が激化する中で、建設業は「使命感があり、誇りがあり、休みも多く、給料も高い」として、「業界の現状を知ってもらいたい」と学生に呼び掛けた。
建設業界の“へぇ~”な話と題した講話では、トップバッターとしてコンソーシアムの坂下利一郎副会長が登壇。美しい夕日を臨む赤江大橋や風光明媚な堀切峠、花火大会が開かれる大淀川堤防などを例に挙げた上で、学生にも思い出の場所を尋ね、「私達が造り上げるものが、誰かの思い出の場所になる」と建設業の魅力をPRした。
旭建設株式会社の馬越想代香さん(建設ディレクター)は、「遠隔施工が拓く建設業の新しい可能性」をテーマに、河道掘削工事で行った遠隔無人化施工の取り組みを紹介。重機操作未経験だった自身が、約16㎞離れた先のバックホウを遠隔操作したことを説明し、「建設業は、知識や経験がなくても成長・挑戦できる分野」と話した。
また、永野建設株式会社でDX推進リーダーを務める北川幸弥さんは、情報収集・ツール選択・情報活用の3つの視点から、UAV写真測量やモバイル端末による測量、マシンガイダンスによるバックホウの操作、完成形の3Dモデルを現場に投影して情報を可視化するAR技術等を紹介し、「一つでも心に刺されば」と期待を込めた。
グループワークでは、学生と会員企業の若手職員らが各テーブルに分かれて、「未来の街づくり」を考えた。テーブルごとに「台風が頻繁に来る」「オリンピックが開催される」「良質な温泉が出た」といったテーマを設定し、テーマに沿って道路やトンネル、橋梁、港湾、空港、建物、自然などを模造紙に描いた無人島に配置した。
セミナーではこのほか、コマツ宮崎株式会社と株式会社コマツレンタル宮崎の協力のもと、建設現場のDXソリューション「スマートコンストラクション」の体験会も行われた。参加した学生は、「ITが建設分野でどのように活用されているのかを知ることができた。ITも建設も一から造りあげる仕事。建設分野に興味が湧いた」と話した。