▲写真は挨拶する嶋本院長、式典の模様
県立宮崎病院は、再整備事業に係る一連の工事が完成したことを受けて、11月5日に同病院でグランドオープン記念式典を開催した。行政や関係機関、再整備関係企業、地元自治会などから約50人が参加。事業の完了を祝うとともに、新病院完成後に行った旧病院の解体や外構などを施工した企業に感謝状を贈呈した。
経年に伴う旧病院の老朽化や狭隘化への対応に加え、東日本大震災の教訓を踏まえた基幹災害拠点病院としての機能強化などを目的に、県立宮崎病院は2013年3月から再整備に向けた検討を開始。15年2月に現地での全面改築による再整備方針を公表し、同年10月から基本設計、17年7月から実施設計に着手した。
現地での再整備で駐車場が不足する問題があったことから、18年6月~19年4月に立体駐車場を建設。新病院の建設工事に関しては、19年5月に起工式を執り行い、感染症対策のため整備項目を追加するなどの設計変更等を行いながら、着工から2年4カ月後の21年9月に新病院が竣工し、22年1月に開院した。
開院後は、22年8月~24年3月に旧病院の解体工事を実施。大規模災害に対応した緊急汚水槽など平面駐車場西側、新病院の玄関庇、国道交差点部の舗装、平面駐車場東側、植栽、外構電気、立体駐車場の改修などを順次進め、25年8月に建築基準法に基づく検査済証を受領し、一連の再整備事業が全て完了した。
当初は22年度末の事業完了を目標としていたが、旧病院の解体で設計時に想定していなかった箇所からアスベストが検出されたこと、緊急汚水槽工事で予期せぬ地下水処理への対応を迫られたことから事業期間を延伸。全面改築の構想案発表から10年6カ月の月日をかけて事業を完了した。総事業費は361億円。
式典で挨拶に立った嶋本富博院長は、開院後に解体工事や外構工事の模様を間近で眺めていた当時の記憶を振り返り、「とても丁寧な工事をしていただいた」と感謝の意を示した。一方で、公立病院を取り巻く環境が大きく変化する中、行政や医療関係者、県民などと共創しながら、県民の健康に資する病院を目指す考えを示した。
式典では、新病院の開院以降、旧病院の解体工事や駐車場整備等に携わった▽前田産業(熊本県)▽はやま建設▽河北▽桜木組▽九南▽にわすけ▽スカイフォレスト宮崎▽みやえい―に感謝状を贈呈した。なお、新病院本体の設計や工事に携わった企業に対しては、22年1月に開催した新病院開院記念式典で感謝状を贈呈している。
当日はこのほか、総務省地方公営企業経営アドバイザーを務める株式会社日本経営の角谷哲氏が地域医療セミナーを開催。「人口減少・高齢化社会における地域医療の再構築~持続可能な医療提供体制を目指して~」をテーマに基調講演を行った。