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現場の生産性向上、ICT活用工事を試行 宮崎市

 宮崎市は、建設現場における生産性の向上や企業の経営環境の改善を図るため、営繕工事及び設備工事を除く建設工事を対象に「ICT活用工事」を試行する。土工や法面工(吹付工)、舗装工、地盤改良工、構造物工(橋脚・橋台)を対象に、▽起工測量▽設計データ作成▽施工▽施工管理▽納品―の各段階でICTの活用を求める。

 建設産業の生産年齢人口が減少する中、生産性の向上が避けられない課題となっていることから、ICT活用工事の試行を通じて建設現場における一人ひとりの生産性向上と企業の経営環境の改善を図り、魅力ある現場づくりと安全性の確保を推進する。10月1日以降に予算執行伺いを行う工事から適用する。

 実施要領では、ICT活用工事に関して、①3次元起工測量②3次元設計データ作成③ICT建設機械による施工④3次元出来形管理等の施工管理⑤3次元データの納品―の各段階でICTを全面的に活用する工事と定義。

 具体的には、無人航空機や地上型レーザースキャナー、TS、RTK-GNSSなどを用いて3次元測量データを取得し、施工及び3次元出来形管理を行うための3次元設計データを作成。その後、3次元マシンコントロールまたはマシンガイダンスを搭載した建設機械で施工を行うとともに、3次元出来形管理及び品質管理の施工管理を実施する。3次元施工管理のデータを、工事完成図書として電子納品する。

 ICT活用工事の対象工種は、土工が「ICT土工」「ICT作業土工(床掘)」「ICT土工(1000m3未満)」「ICT小規模土工」の4パターン。このほか、▽ICT法面工▽ICT舗装工▽ICT舗装工(修繕工)▽ICT付帯構造物設置工▽ICT地盤改良工▽ICT構造物工(橋脚、橋台)―を対象とする。

 このうち、土工量が7000m3以上のICT土工のみ発注者指定型とし、起工測量から納品までの全ての段階において、ICTを全面的に活用することを原則とする。一方、これ以外は受注者希望型と位置付け、受注者が希望する段階でICTを活用することを認める(ただし、前述の②、④、⑤は必須)。

 工事費の積算に関して、発注者指定型では、国土交通省土木工事標準積算基準書(ICT施工)及び国土交通省ICT活用工事積算要領に基づく積算で発注し、現場でのICT施工の実績を踏まえ、積算要領等に基づき積算を行い、落札率を乗じた価格で契約変更する。ICT活用工事を実施しなかった場合は、減額変更する。

 受注者希望型では、国土交通省土木工事標準積算基準書(従来施工)に基づく積算で発注するが、契約後の協議でICT活用工事の施工を指示した場合は、同じく契約変更を行う。土工に関連する作業土工(床掘)や付帯構造物設置工、法面工(吹付工)、舗装工に関連する付帯構造物設置工でICTを活用する場合も同様とする。

 このほか、現行基準による2次元の設計ストック等でICT活用工事を発注する場合、受注者に3次元起工測量及び3次元設計データ作成を指示するとともに、これらの経費について見積りを求め、その内容を確認した上で設計変更を行う。

 ICT活用工事として全ての段階(法面工(吹付工)及び構造物工(橋脚・橋台)は③を除く全ての段階)でICTを活用した工事に対しては、工事成績評定で2点を加点し、一部でICTを活用した工事に対しては1点を加点する。

 ICT活用工事試行実施要領やQ&Aは、ホームページ(ホーム→産業・事業者→入札・契約→技術基準)で確認できる。問い合わせ先は、総務部契約課(電話0985-21-1726)。

■工事成績で加点、CCUS活用工事

 宮崎市は、10月1日以降に予算執行伺いを行う全ての建設工事を対象に「建設キャリアアップシステム活用工事」を試行する。建設技能者の処遇改善や中長期的な技能者の確保・育成を推進するため、平均登録事業者率や平均登録技能者率、平均就業履歴蓄積率の達成状況に応じて、工事成績評定で加点評価を行う。

 試行の対象は、市が発注する全ての建設工事で、受注者が希望した工事(受注者希望型)。ただし、災害発生時等の応急復旧で緊急性を要する場合や工期が著しく短い場合、その他の事由で発注者がCCUSを活用できないと判断した場合は、対象外とする。

 試行では、受注者が▽平均登録事業者率90%(営繕工事は70%)▽平均登録技能者率80%(同50%)▽平均就業履歴蓄積率50%(同30%)―の目標基準を全てクリアした場合、工事成績評定で1点を加点する。平均技能者登録率が目標基準を上回る90%以上(同70%)の場合は、さらに1点を加点する。

 一方で、受注者がいずれかの指標で最低基準を達成しなかった場合、発注者は工事名、未達成の項目、要因及び改善策を工事完成検査日前日までに受注者に報告させる。基準を達成できなくても、減点評価は行わない。実施要領やQ&Aは、ホームページ(ホーム→産業・事業者→入札・契約→技術基準)で確認できる。