▲写真は挨拶する春山会長、会議の模様
田野地区建設業協会(春山義正会長)は、5月30日に宮崎市田野町内で「地域防災と建設業協会との連携防災会議」を開催した。会議には、会員企業の職員のほか、宮崎市田野総合支所や宮崎県宮崎土木事務所、中部農林振興局、警察、消防、社会福祉協議会などの関係者が多数出席し、地域防災力の強化に向けて連携体制の強化を図った。
田野地区建設業協会は、田野町内に事業所を有する建設業社23社で構成。近年、大型化する台風やこれに伴う豪雨、将来的に高い確率で発生が懸念されている南海トラフ巨大地震等の自然災害に対応するため、地域の関係機関と地元建設業との連携強化を目的として、2012年から毎年、防災会議を開催している。
主催者挨拶で春山会長は、「これから先、起こりえる大災害に備え、地域の建設業としての対応や組織づくり、組織の強化が必要になっている」と指摘。地域インフラの担い手、守り手としての役割を果たすため、「皆さんと団結し、力を合わせて諸問題の解決を図るため、前向きに努力していきたい」と意気込みを述べた。
一方、宮崎市田野総合支所の池下史郎支所長は、今年で8回目を数える連携防災会議に関して、こうした継続的な取り組みが、災害への備えの重要性を強く意識することに繋がると強調。激甚化・頻発化する自然災害に対して、日頃から顔の見える関係を構築し、それぞれの立場で出来る備えを考えなければならないと述べた。
また、宮崎土木事務所の山下明男所長、中部農林振興局の海野俊彦局長、宮崎県議会の野崎幸士議員も挨拶し、それぞれ災害に対する備えや地域連携の重要性を訴えた。
会議では、宮崎公立大学地域連携・防災研究センターの山下裕亮准教授が、昨年8月の日向灘を震源とする地震で初めて発表された「南海トラフ地震臨時情報」をテーマに講演。「自分の命を守ることができる知識を身に付けておくことが重要」として、臨時情報が次の巨大地震発生前に対策を講じるための仕組みであることを説明した。
山下准教授は、臨時情報が発表された際には、「いつも」の生活を可能な限り維持しつつ、「もしも」巨大地震が発生した時に備えて普段よりも警戒レベルを上げておくことがポイントと説明。災害時に於ける建設業の役割を踏まえ、例えば道路啓開に必要となる建設機械などを安全な場所に移動しておくなどの対応策を紹介した。
防災講話を行った宮崎市危機管理部危機管理課の湯浅純寛氏は、消防局勤務時代に派遣された東日本大震災の被災地の状況や活動内容を動画で紹介。「道がなければ何もできない」として、道路啓開の重要性を強調するとともに、防災行政無線やメールによる情報発信、津波避難タワーの整備といった宮崎市の防災の取り組みを解説した。