串間市は、10月15日に「第1回入札等監視委員会」を開催し、予定価格の公表方法や一般競争を含めた入札制度のあり方などについて意見を交わした。予定価格に関しては、関係団体等の意見も踏まえ、市としては「事前公表」を継続したい意向を示す一方、事後公表も含めた試行を重ねて、更に検証を行う考えを示した。
入札・契約制度の検証やコンプライアンス意識の強化、官製談合等の根絶に向けた再発防止対策等を検討するため、市は第三者(弁護士、税理士、公認会計士、学識経験者)で構成する入札制度等検討委員会を2024年1月に設置。検討委員会の提言を踏まえ、今年8月に「入札・契約制度等改革に係る取組方針」を公表した。
取組方針では、発注基準の見直しや第三者によるチェック体制の構築、予定価格の公表方法、入札・契約事務の体制強化、一般競争を含めた入札制度のあり方、電子入札の導入などを検討することを明記。公正・中立な第三者から意見を聴取し、入札・契約制度の適正化を図るため「入札等監視委員会」を設置し、15日に初会合を開いた。
会合では始めに、委員会を原則公開とすることや、串間市情報公開条例第11条に規定する不開示情報を除き、会議資料及び議事概要を会議終了後に串間市公式サイトで公表すること、会議が公開のため、会議終了後のブリーフィングは行わないことを確認。また、委員会の設置目的等について、市の担当者から説明があった。
一方、予定価格の公表方法に関する質疑では、市が想定する今後の方向性や、それを踏まえた具体的な取り組みなどについて意見を交わした。市がまとめた入札・契約制度等改革に係る取組方針では、「平均落札率を含めた客観的データ等を分析した上で、事前公表の妥当性について検証を行い、慎重に判断する」としている。
市が関係団体等と行った意見交換では、「市が設定する予定価格は、現場管理費や一般管理費が工種等でバラバラであり、事業者として積算できない」「統一された積算要領等がないため、不落・不調になることがあり得る」「事後公表になれば、積算システムを導入しなければならない事業者も出てくる」といった意見が寄せられている。
議事では、「事後公表に向けて動いていくということか」とした委員の質問に対し、市は「現時点で従来通りの事前公表を継続したいという意向はあるが、入札等検討委員会からの意見を受け、事後公表も含め試行を重ね検証していく。検証の結果、事後公表が適切だといった結果になれば、今後事後公表とする可能性はある」と回答した。
このほか、一般競争入札を含めた入札制度の検討に関しては、災害時の即戦力となる市内業者の育成を考慮しつつ、取組方針の中で「適用範囲を明確にするとともに、具体的な制度設計について検討することが求められることから、要綱を制定する」としている。
議事では、市に主たる事業所を置くなどの条件を付した一般競争入札や、JVを検討してみてはどうかとする委員の質問に対し、市は「実際に市内事業者等との意見交換の中でも、JVに関する要望等もあがってきている。条件付一般競争入札についても、県内の先進自治体等を参考に検証していきたい」と回答した。