▲出前授業の模様
宮崎県中部農林振興局は6月12日、宮崎市立恒久小学校で「農業用水とほ場整備」に関する出前授業を開催した。同様の出前授業は、昨年度の都城市立五十市小学校に続いて2回目。当日は、五十市小で授業を担当した北諸県農林振興局の職員も応援に駆け付け、同校の5年生を対象に、農業土木の役割や必要性を説明した。
出前授業は、5年生の社会科の授業で農業用水やほ場整備について学習することから、この機会に農業・農村へ理解と興味を持ってもらうことを目的に開催したもの。
授業では、両振興局の若手職員が講師を務め、はじめに農林振興局の仕事内容を説明。農業用水に関しては、農作物を育てるための水を河川から引くため、頭首工や用水路といった農業施設を整備するとともに、地域の土地改良区がこれを適切に維持管理していること、県内の用水路の総延長が約1・2万㎞に上ることを説明した。
一方、ほ場整備に関しては、耕地の区画整形や農道の拡幅、用排水路の整備を行うことで、大型機械の導入等によって農作業時間を短縮できたり、ほ場の大区画で農業者の経営規模が拡大すること、水はけが良くなり、露地野菜の作付けが可能になること、高齢農家が若手農家に農地を貸しやすくなることをメリットとして説明した。
また、実際に県内のほ場整備工事の現場で撮影した動画で、ショベルカーや土を運ぶ運搬車、ICTブルドーザーの作業内容を解説するとともに、県内のほ場整備率が全国平均よりも低いことを説明。「仕事がしやすく便利になった」「大型機械を導入できるようになった」などの、ほ場整備を行った農家の声も紹介した。
質疑応答では、仕事のやりがいを尋ねる生徒の質問に対して、農家の人達に喜んでもらえることや、地図に残る仕事であることを挙げた。祖父が農業を営んでいるという生徒は、「当たり前のように田んぼがあると思っていたけど、沢山の人達の力で農業が成り立っていることを今日の授業で知ることができた」と話した。
中部農林振興局農村計画課の久保田文也課長は、「農業土木の分野も担い手不足が深刻化している。これまでも、高等学校や大学では授業を行っていたが、小学生のうちから農業の維持・発展に欠かすことのできない基盤整備の必要性を理解してもらうとともに、農業土木に対しても興味を持ってもらいたい」と期待を込めた。