学識経験者や関係団体で構成する「高千穂通りデザイン検討会」の初会合が、5月8日に宮崎県庁で開催された。検討会では、宮崎大学地域資源創成学部の出口近士特別教授を会長に選出。高千穂通りを人中心の道路空間に再整備するにあたり、道路施設や道路付属物等のデザインや利活用法の手法について、様々な視点から意見を交わした。
高千穂通りを「居心地が良く歩きたくなる」空間とするため、宮崎駅前交差点から橘通り3丁目交差点までの700m区間の道路空間を再編する計画。歩行者利便増進道路制度(ほこみち制度)を活用するほか、歩道の中に利便増進遊動区域を指定し、オープンカフェやベンチなど歩行者の利便増進に資する施設の設置を推進する。
検討会の初会合では、事務局を務める宮崎県県土整備部都市計画課の担当者が、検討事項である▽歩道(色・材質)▽自転車道▽バスベイ▽植栽マス(地上・地中)▽花壇―について、協議会での決定事項やワーキング等を踏まえたイメージを説明した。
歩道は全線で歩道幅3・5mを確保し、路面のデザイン等については、隣接事業者との連続性を考慮しつつも、大き目の平板ブロックを採用することで、風格ある空間を創出するイメージを提示。明るめの資材から色彩を選定することや、グリーンインフラの観点から透水性素材を活用することで、涼しい空間の創出を図るとした。
自転車道は全線で幅員2m以上とし、双方向の通行(状況に応じて一方通行を検討)とする。地形や条件に合わせて、フラットとマウントアップ等を組み合わせることも提案。6箇所全てのバス停をテラス型とするほか、バス停と交通島間の導線に横断歩道を設置するなど、利用者が安全に乗降できる対策を講じる考えを示した。
植栽マスについては、土壌の改善や道路縦断方向へ根を誘導するなどの対策を検討するとともに、設計・施工段階で樹木医の意見を反映するとした。花壇については、中間点付近にまとまった数の植栽可能な花壇の配置をするとしながらも、緑の連続性や管理体制、楠木との距離感を考慮しながら検討していく考えを示した。
会議ではこのほか、高千穂通りの多くで駐輪が確認され、特に交差点付近及び駅前で顕著だったことから、宮崎市と連携して駐輪対策に取り組むほか、シェアサイクルポートの設置を検討していることを報告。バス停付近にCLT(直交集成板)や県産材を用いたあずま屋を設置することや、デジタルサイネージの導入等も提案した。
今後は、リニューアルするNTTビル前を対象に、先行して道路空間整備に係る詳細設計を行い、24年度下半期に同区間の工事を実施する予定。24年度中に全体の詳細設計をまとめ、25年度以降に全線の工事を行う。検討会では、今会合での意見や提案を踏まえ、7月頃に開催する第2回会合で更なる議論を行う。