宮崎市上下水道局は、上下水道施設における再生可能エネルギーの活用に関するサウンディング調査の結果を公表した。今年3月~5月に行った民間事業者との対話には15者が参加。対象施設の未利用地等を事業者に貸し付け、事業者が太陽光発電設備等を設置・管理・運転するPPA事業の実現可能性などを確認した。
公共施設の脱炭素化に向けた取り組みとして、上下水道局は水道施設及び下水道施設における再生可能エネルギーの導入可能性を検討している。検討に際して、先進的なアイデアやノウハウを持つ民間事業者との連携が重要であることから、事業者との直接対話(サウンディング型市場調査)を実施。その結果を公表した。
調査の対象施設は、水道施設が▽下北方浄水場▽富吉浄水場▽佐土原町浄水場用地▽清武第3水源地―の4施設、下水道施設が▽宮崎処理場▽大淀処理場▽木花処理場▽青島浄化センター▽佐土原浄化センター―の5施設。事業スキームとして、環境省の地域脱炭素移行・再エネ推進交付金を活用したオンサイトPPAを想定する。
民間事業者との対話では、PPAの事業期間を「15~25年」とする意見や、電力買取価格の設定に関して、「工事費および維持管理費の総事業費と想定される発電量から電力買取価格を算出」「環境省等の交付金を活用することで電力価格の低減が図られる」「施設ごとの単価設定や固定価格が望ましい」といった意見が寄せられた。
事業化に向けた課題・条件に関しては、「施設の構造計算の確認や防水工事との調整が必要」「災害・第三者への損害補償等のリスク分担の整理が必要」といった意見があり、契約満了後には「設備を市へ無償譲渡」「事業者による設備の撤去」といった意見があった。蓄電設備については「高価なため費用対効果の検証が必要」とした。
一方で、PPA以外の事業提案として、風力発電や小水力発電、消化ガス発電、下水熱の利用に関する提案があり、「EV車導入や自営線による避難所等への電力供給」「上下水道施設以外の公共施設と連携した電力供給網の構築」「J-クレジット制度を活用した温室効果ガス排出量の削減」などの意見も寄せられた。
上下水道局は、「今回の調査を通じて、上下水道施設におけるPPA事業の実現可能性を確認することができた」としたうえで、「今後、いただい意見・提案をもとに、関係各署と連携を図りながら、事業化に向けた具体的な検討を進めていく」としている。
《調査結果の概要》