▲野球場の整備イメージ
延岡市は、西階公園野球場施設整備事業の実施設計案をまとめ、概要版をホームページで公開した。2027年に本県で開催予定の国民スポーツ大会を見据え、老朽化したスタンドの建て替えやグラウンド整備、照明及びスコアボードの更新等を行うもの。市内居住者等を対象に、7月31日まで実施設計案に対する意見を受け付ける。
竣工から58年が経過する西階野球場(西階町1丁目)は、施設や設備の老朽化が進み、27年に本県で開催予定の国民スポーツ大会で競技会場として使用されることから、再整備の必要性が指摘されていた。また、野球場を含む西階公園は、災害時の後方支援拠点に位置付けられており、市民の生命を守る役割も果たす必要がある。
こうした状況を踏まえ、23年3月にまとめた実施設計案では、施設の設計コンセプトに▽市民そして競技者に親しまれる野球場▽人にやさしい野球場▽「公認野球規則」に沿った機能・設備を備えた野球場▽運営・維持管理しやすい野球場―の4項目を掲げた。
主な施設概要は、▽グラウンド規格・仕様=面積1万5493㎡(両翼100m、中堅122m)、内野クレー、外野天然芝、一部人口芝▽建築スタンド規模=建築面積3137㎡、延床面積5752㎡▽収容人数=1万2700人程度(うちスタンド席3700人▽構造・階数=RC造一部S造3階建(最高高さ14.59m)―とした。
付属施設は、屋内ブルペン・トレーニングスペース・土置場が各2箇所、LEDナイター照明塔6基、LED電光スコアボード、防球ネット(最高45m)、駐車場233台などを計画。概算建設費は約51億3899万円を見込む。
平面計画によると、スタンド1階にはエントランスホールや運営関係諸室、来賓室・記者室・特別室、医務室等を設置。選手関係諸室には、控室やシャワー室、ロッカー室、素振り室、トイレを設置し、ダッグアウトは現在の1・5倍程度まで拡張する。1塁及び3塁側のスタンド席下に、屋内ブルペンとトレーニングスペースも設置する。
2階コンコース(大通路)は、スタンド階の張出部分が屋根となっているため、雨天時の退避場所としても利用できる。バックネット裏の観客席は背もたれ付きの個別席、両翼側の観客席は背もたれ無しの個別席とし、バックネット裏前列に車椅子席14席を設置。バックネット裏には、日よけ・雨よけ機能として大屋根を設置する。
基本設計時に最高30mとしていた防球ネットは、高さが不十分で、硬式野球では飛球の一部が球場外に出る恐れがあることから、「硬式野球でも100%打球が球場外へ飛ばない計画」に変更。飛球シミュレーションの結果を踏まえ、高さを最高45mとした。
また、野球場の拡張に伴い、前面の駐車場面積が減少することから、駐車区画の見直しを行い、駐車台数の確保を図った。整備後の周辺駐車場の合計台数は233台となり、現在の駐車台数(268台)から減少するが、野球場東側に建設中の多目的屋内アリーナの敷地内に新たに駐車場を整備するため、公園全体の駐車台数は増加する。
照明施設に関しては、JIS照明基準や日本体育施設協会の屋外体育施設の建設指針に基づき、軟式Ⅰ類(硬式ではⅡ類相当)の照明要件を満たす整備が妥当と設定。鋼管が主流となっている照明用支柱は、世界的な鋼材価格の高騰や入手難易度の高まりを考慮し、安全性を第一に確認しながら、コンクリート柱での設計とした。
スコアボードに関しては、電光式が主流となっていることや、国民スポーツ大会中央競技団体の正規視察において、手動式から電光式への更新の必要性が指摘されたことから、実施設計では電光式を採用。常に人員を配置する必要がある手動式スコアボードに比べ、利便性の向上が図られ、競技面・観戦面・運営面で大きな効果が期待できる。
こうした施設整備に係る概算建設費を約51億3899万円(備品購入費等を除く)と試算する。メインスタンドの消防設備の追加やスコアボードの仕様変更、防球ネットの高さ延長、周辺駐車場整備の追加に加え、工事監理を民間業者に委託する費用を追加することに伴い、概算建設費は基本設計時から約4億円増えた。
施設の整備に際して、現在は既存野球場の解体工事が東栄・高橋・西部JVで進捗中。市の発注見通しによると、第3四半期に条件付一般競争入札で「西階野球場建築主体工事」を発注する予定でいる。建設工期は約820日間。計画では、12月に完了する解体工事に合わせて着工し、2025年度中の竣工を目指している。