▲写真は挨拶する黒木会長、総会、基調講演の模様
宮崎県建設業ICT推進コンソーシアムは6月9日、宮崎市内で2023年度「第3回総会」を開催した。総会では、22年度事業報告及び決算、23年度事業計画案及び予算案、規約改定の各議案を原案どおり承認。任期満了に伴う役員改選で、新理事及び監事の選任案を承認し、新役員の互選で会長に黒木繁人氏を選出した。
コンソーシアムは、ICT(情報通信技術)を活用した建設現場の生産性向上や建設分野のDX(デジタル・トランスフォーメーション)を推進するため、20年12月に県内の建設会社13社で発足。会員間の技術交流を目的とした勉強会や現場見学会等を定期的に開催している。今総会までに会員数は35社に増えた。
会長代行として総会冒頭に挨拶した黒木繁人氏は、「建設業は変革の時期にあり、今後もスピード感をもって時代が変わっていく」とした上で、時代に乗り遅れないことが重要であり、企業には変化への対応力が問われると指摘。そのために、企業単体では実行が難しいことも、チームであればそれが可能になると述べた。
黒木会長代行は、変化に対応するためのキーワードに、BIM/CIMやICT、遠隔臨場、3D、ドローン、AI、ロボットなどを挙げ、こうしたデジタルやテクノロジーを駆使し、会員が互いに協力しながら、持続可能な企業や建設業づくりに取り組む必要性を強調。「知恵を出し合い、難局を乗り切っていこう」と呼び掛けた。
議案審議では、22年度の事業経過を事務局が説明。遠隔バックホウや杭ナビショベルの現場見学会、モバイル端末に搭載されているLiDAR機能を使った3次元モデルの作成・活用方法に関する勉強会、AIを活用した建設DXと電子請求、建設ディレクター制度に関する勉強会などに取り組んだことを報告した。
一方、23年度の事業計画に関しては、今総会後に行う勉強会のほか、建設ディレクターをはじめとするバックオフィス業務のDX化に関する勉強会の開催、優れたICTの取り組みを行っている会員企業の現場見学会、全国的にインフラDX分野で優れている企業を招いての勉強会の開催、先進施設の見学会などを予定する。
総会ではこのほか、コンソーシアムの顧問を務める自由民主党宮崎県支部連合会長の星原透氏、宮崎大学名誉教授の中澤隆雄氏、日新興業技術顧問の中村安男氏が挨拶。中村顧問は、「最先端の会社や技術に触れ、各社の取り組みに役立てて」と話した。
新役員は次のとおり(敬称略)。
▽会長=黒木繁人(旭建設)
▽副会長=河野孝夫(日新興業)、川浦幸治(龍南建設)、坂下利一郎(坂下組)
▽理事=河野孝文(河野建設)、藤元勇貴(藤元建設)、増田祐介(増田工務店)、河野義直(松浦建設)、吉原政秀(吉原建設)
▽監事=永野伸弥(永野建設)、木田壮一郎(木田建設)。
■トップランナー招き基調講演
総会後には、ICT施工や建設DXのトップランナーである株式会社砂子組(北海道)の真坂紀至氏、株式会社小野組(新潟県)の小野貴史代表取締役と村山和衛氏、宮崎県の永山寛理副知事が基調講演を行った。会員各社の代表者に加え、各社の職員ら総勢100人超が参加し、貴重な講演内容に熱心に聞き入った。
砂子組の真坂氏は、ICT活用を推進するうえでのポイントとして、内製化してノウハウを蓄積することや、余計なことまでやり過ぎないことなどを挙げるとともに、ICT等を推進する成果が、地域を守り、利用者に喜んでもらうこと、最新の技術やノウハウを未来の世代に伝えることに繋がるなどと説明した。
小野組の小野社長は、長年培った技術を流し込み、ありたい姿を具現化することで、企業文化や風土の変革を図るといった同社のDXの考え方を説明。村山氏は、構造物の3D模型を製作し、打ち合わせや現場見学会で活用することで、イメージの共有が図られるなど、見える化による意思疎通の大切さを訴えた。
宮崎県の永山副知事は、人口減少や少子高齢化による担い手不足を踏まえ、建設業界の持続的発展に向けた働き改革や建設キャリアアップシステム、i-Constructionの取り組みを紹介し、人財育成の重要性を強調した。デジタル社会の実現に向けた宮崎県情報化推進計画の見直し概要等も説明した。