宮崎市の清山知憲市長は、3月22日に開いた定例会見で、これまで行ってきた児童相談所設置に係る検討結果を踏まえ、市の強みをいかした独自の児童相談所を設置する方針を示した。2023年度に宮崎県とのプロジェクトチームを立ち上げ、庁内に検討チームを設置。24年度以降に基本計画の策定や人材確保・育成等を行う。
子どもやその家庭に関する相談は年々多様化し、幅広い支援が必要となってきているほか、全国的に児童虐待相談対応件数は例年過去最多を更新している。宮崎市には分野ごとに様々な相談窓口を設けているが、相談内容も複雑化していることから、専門職の配置や相談しやすく総合的な対応ができる体制が求められている。
虐待の通告に関しては、宮崎市や宮崎県中央児童相談所等で受理しており、それぞれでリスクを評価したうえで、ケースによっては中央児童相談所から送致、または市から中央児童相談所へ援助依頼等を行うなど、その過程で連携・協議が必要となっている。
市が児童相談所を設置することにより、初動対応から継続支援まで一元的な支援を行うことができる。市は、児童相談所を設置するメリットに▽児童虐待の未然防止・再発防止体制の強化▽通告後対応の迅速化▽市の判断で一時保護が可能▽一時保護所の弾力的な運用▽措置児童が家庭的な環境で育つことを推進―などを挙げる。
児童相談所の設置に向けて、市は来年度、妊娠期から子育て期に対する切れ目のない支援を行うため、「こども家庭センター」につながる部署を新設する。住民に近い行政機関である市の強みをいかし、子どもや家庭に対する総合的な支援体制の構築に取り組む。
施設の整備に関しては、他市に於ける昨今の同様の施設を参考に、児童相談所の延床面積を1700㎡程度、保護施設の延床面積を1300㎡程度と想定。想定面積を踏まえた施設整備費に関しては、それぞれ6億5千万円程度、5億5千万円程度と概算する。
今後の予定として、23年度に人材確保や育成に関する県とのプロジェクトチーム立ち上げるとともに、庁内に検討チームを設置し、子どもや家庭に対する総合的な支援体制の検討、設置場所及び具体的な施設整備の検討、中央児童相談所から移譲する業務の整理と条例・規則の検討を行う予定。中央児童相談所に職員を1人派遣する。
23年度の検討結果等を踏まえ、24年度以降に基本計画の策定や人材確保・育成、関係団体への説明、設置予定地域住民への説明などを行う方針でいる。会見で清山市長は、「最終的に設置までの年数としては5年(早くて4年)と、具体的な見通しは立っていないが、できるだけ早期に設置を目指したい」との考えを示した。