宮崎県内の自治体で唯一、環境省の「脱炭素先行地域」に選定さた延岡市は、一ヶ岡エリアでカーボンニュートラルによる住宅地の再生と強靭化モデルを展開する。住宅等への太陽光発電や蓄電池の導入、市営住宅のZEH建替、ZEB子育て支援施設の導入、省エネ設備の導入やZEH化を推進し、災害に強いまちに再生する。
脱炭素先行地域では、家庭部門と業務部門の電力消費に伴う二酸化炭素排出量について、再生可能エネルギーなどの活用により実質ゼロとすることを目指す。先行地域に指定されると、地域脱炭素・再エネ推進交付金により、再エネ設備や基盤インフラ設備、省CO2化設備などの導入に対して複数年にわたる支援を受けられる。
延岡市は、高度成長期に於ける九州有数の大住宅団地であり、大部分が南海トラフ地震津波浸水エリアに位置する一ヶ岡エリアで、太陽光発電や蓄電池、ZEH建替、ZEB子育て支援施設の導入のほか、デジタル地域通貨等も活用し、ニュータウンのリニューアルと脱炭素化を組み合わせて、災害に強いまちへの再生に取り組む。
また、循環バスや乗合タクシーのEV化等による公共交通網の再構築、マイカー依存からの脱却とWell-beingなまちづくりを目指す。
具体的には、民生部門電力の脱炭素化として、住宅等に自家消費型太陽光発電(4721㌔㍗)と蓄電池を導入するとともに、ソーラーカーポート(1757㌔㍗)・蓄電池・EV充電器をPPAモデルで導入。ZEH-M水準同等の市営住宅の建て替えやZEB子育て支援施設の導入、住宅への省エネ設備導入やZEH化を推進する。
また、CO2削減の見える化システムの導入や官民連携によるデジタル地域通貨「のべおかCOIN」の付与、地域新電力である「延岡脱炭素マネジメント株式会社」によるエネルギーマネジメントを実施する。
民生部門電力以外の脱炭素化では、循環バスや乗合タクシーのEV化、住民・事業者のEV買い換え促進により、地域交通の脱炭素化を図る。市営住宅跡地には、ZEB子育て支援施設とカーシェアリング、EV充電スタンド、シェアサイクルを整備し、ゼロカーボンリニューアルを実現する。
ニュータウンのリニューアルと脱炭素化を組み合わせることにより、地域の魅力向上を図り、移住・起業する市内外の人材の増加、生産年齢人口の増加を図る狙いもある。
市では、こうした取り組みに係る事業費の合計を約112億円と試算する。計画期間は2023~27年度の5年間。公募で選ばれたみやまパワーHD株式会社、パナソニック株式会社、株式会社ジャパンインターナショナル総合研究所の3社でつくる地域新電力会社のほか、地元企業とも密に連携し、産官民連携で事業を推進する。