▲体育館、陸上競技場、プール施設の外観イメージ
2027年に本県で開催される国民スポーツ大会及び全国障害者スポーツ大会に向けて、宮崎県は大会の主会場と位置付ける体育館、陸上競技場、プール施設の整備事業者を決定した。延岡市の体育館は清水・都北・内山特定建設工事共同企業体、都城市山之口町の陸上競技場は清水・都北・下森特定建設工事共同企業体と増田・上田・戸髙特定建設工事共同企業体が本体建設に係る建築主体工事を担当する。宮崎市に整備するプール施設は、鹿島建設グループが設計や施工、維持管理を行う。
■体育館/主体は清水・都北・内山特定JV
延岡市民体育館の敷地内に新設する体育館の建築規模は、低層部がRC造、屋根部がS造と木造、階数は地上2階建、延床面積は1万2998m2。メインアリーナには固定席2008席と可動席1944席、サブアリーナには固定席504席を配置する。施設整備に係る設計業務は石本・宮崎設計業務共同企業体が担当した。
設計に際しては、機能性・将来性・安全性に優れ、スポーツランドの拠点となるよう、「スポーツランドみやざきの拠点となり、まちの活性化に寄与する体育館」「アリーナの特性と延岡の気候風土を踏まえた工法・環境技術の導入によるLCC削減」「県民にとって安全・安心な避難拠点・防災拠点施設」をコンセプトに掲げた。
新たな体育館の建設は、既存体育館(別館)解体~サブアリーナ建設~既存体育館(本館)解体~メインアリーナ建設のローリング方式で進める。概算工事費は約89・1億円で、内訳は▽建設工事費83億円▽解体工事費3・7億円▽工事監理費等2・4億円。解体工事は宮崎県が一括して発注し、延岡市が費用を負担する。
昨年7月には、一般競争で既存体育館解体~メインアリーナ建設までを行う建設主体工事の入札を執行し、施工業者を清水・都北・内山特定JVに決定。同年9月には、サブアリーナ(施工部分床面積5223m2)の設備工事の入札を執行し、電気工事を三桜電気工業、空調工事を富士建工業、管工事を浄水工業にそれぞれ決定した。
建設主体工事の工期は25年9月30日まで、サブアリーナの設備工事の工期はいずれも23年5月2日まで。メインアリーナの設備工事は、2期工事として別途発注する。施工監理業務は石本・宮崎JVが担当する。計画が順調に進んだ場合、23年5月のサブアリーナ完成、25年9月のメインアリーナ完成を目指している。
■陸上競技場/建築主体は清水JVと増田JV
山之口運動公園の区域を拡張して整備する陸上競技場は、県道422号の東側をスポーツエリアと位置付け、北側に第一種公認の主競技場、その東側に投てき練習場(整備面積1万4000m2程度)を配置。主競技場の南側に第三種公認の補助競技場、その西側に多目的広場(整備面積1万6000m2程度)を配置する。
主競技場の建築規模は、RC造(屋根部分S造)4階建、延床面積は2万2809m2。メイン・バックスタンドの座席席を1万1500席程度、サイドスタンドの芝生席数を3500席程度とする。官庁施設の総合耐震・津波計画基準に基づき、耐震性能目標は構造体をⅡ類、非構造部材をA類、建築設備を乙類とする。
フィールド内の走路は、400m×9レーンの全天候舗装を計画。走幅跳びや三段跳び、棒高跳び、走高跳びに対応する跳躍競技施設、砲丸投げや円盤・ハンマー投げ、やり投げに対応する投てき競技施設、水壕を含む障害物競走施設、インフィールドのほか、夜間照明設備や電光掲示板(大型映像装置)も整備する。
また、投てき競技の練習に使用する投てき練習場の整備面積は1万4000m2程度、サッカーや野球など多様なスポーツ等に使用できる多目的広場の整備面積は1万6000m2程度とする。都城市が整備する補助競技場の規模は、S造2階建、建築面積1500m2、延床面積1900m2。観客席数は1000席程度を確保する。
一方、県道422号の西側は駐車場エリアと位置付け、第1~第3駐車場(合計1200台程度)のほか、歩行者が道路を横断する前の滞留スペースを兼ねた広場を整備する。県では、これらの施設整備に係る概算工事費を約214億円(うち県発注工事154億円、都城市発注工事60億円)と試算する。
昨年10月~12月には主競技場建設工事の入札を執行し、メインスタンドとサイドスタンド(施工部分床面積1万7688m2)の建築工事及び附帯工事を清水・都北・下森特定JV、バックスタンド(同5121m2)の建築工事及び付帯工事を増田・上田・戸髙特定JV、電気工事を三桜電工・小田電業・電工社特定JV、管工事をエイワ、空調工事を久保設備がそれぞれ落札した。
工期はいずれも24年12月13日まで。工事に伴う施工監理業務は、設計業務を担当した佐藤・益田設計業務共同企業体が担当する。22~24年度に都城市が補助競技場工事を行い、最終的に25年3月の整備完了を目指している。
■プール施設/鹿島グループがプール等整備
国スポ・障スポや大規模な公式大会が開催可能な日本水泳連盟公認プール(国内一般・AA)を、宮崎市錦本町の県有グラウンドに整備する。施設は、50mプール、25mプール、トレーニングルーム、多目的スタジオ、関連諸室、駐車場等で構成。仮設を含む観客席数は2500席以上で、延床面積は1万3000m2以上とする。
施設の整備にあたり、県はPFI法に基づく特定事業として、プール施設の設計・建設・運営及び維持管理のほか、敷地内の余剰地に民間収益施設を整備する事業者を募集。鹿島建設を代表企業とし、▽大和開発▽九南▽日本管財▽シンコースポーツ▽米良電機産業ーを構成員、▽マスジュウ▽梓設計▽岩切設計▽那須設計▽文化コーポレーションーを協力企業とするグループを事業者に決定した。
鹿島建設グループの提案によると、プール施設の構造は鉄筋コンクリート造一部鉄筋鉄骨コンクリート造一部鉄骨造、階数は地上2階、延床面積は1万3436m2。施設概要として、50mプールや25mプール、トレーニング室、多目的スタジオ、その他関連諸室、クライミングウォール、駐車場などを挙げる。
事業期間は、プール施設の設計・建設が24年12月まで、開業準備が25年1月から3月まで、運営・維持管理が25年4月から40年3月まで。施設の設計・建設・運営・維持管理を含む落札価格は155億9440万8800円(税込)だった。
これとは別に、敷地内の余剰地を活用した民間収益施設に関しては、①放送局(事業者=エムアールティ・ミック)②大学・オフィシャルセンター(同=米良電機産業)③メディカル・飲食モール(同=大和リース)―の3施設を提案した。プール施設と一体的に整備することで、まちづくりの視点から相乗効果を期待する。
事業者選定時の審査講評では、同社の提案した事業の実施に際して、確実な資金調達計画や劣後ローン等による追加融資枠の確保、手堅い収支計画などを評価したほか、「宮崎駅周辺という場所に求められる機能を考慮しており、プールを核にした多様な施設展開により、にぎわいや地域振興を図っている」などと評価。
また、施設整備に関する評価では、シンボリックさを強調した屋根形状や県産木材を活用した外部デザイン、競技を行いやすい具体的な内部デザイン、信頼性の高い基礎杭の採用や耐震荷重対策等の工夫、歩行・車両動線の工夫のほか、現場の快適環境整備により建設業のイメージアップや担い手確保を図っていることが評価された。
また、民間収益事業に関する評価では、適切な配置計画でプールとの相乗効果を期待できることや、各収益事業者の財務状況に問題がないこと、資金調達・収支計画の見込みが具体的であること、多様な事業主体による多彩な地域活性化策が提案され、恒常的な人流によるにぎわい創出を期待できることなどを評価した。
※イメージ図は宮崎県提供