▲写真は挨拶する園田社長、挨拶する吉川部長、現場見学会の模様
森塗装株式会社(園田功一朗代表取締役)は、同社が施工する宮崎市田野町の橋梁補修工事の現場で、先行床施工式フロア型システム吊足場「QuikDeck(クイックデッキ)」の見学会を開催した。県内の建設コンサルタント会社の技術者ら約15人が参加し、従来とは全く異なる吊フロアシステムの作業性や安全性などを確認した。
クイックデッキは、アクセスが困難な橋梁桁下や建築物の天井下等に無隙間・無段差の快適な作業スペースを構築するシステム。NETISの2019年度準推奨技術に認定されている(登録番号TH-150007-VE)。基本構成部材は全てシステム化され、専用工具を必要とせず、熟練工でなくても少人数で組み立てることができる。
トラス部材(ジョイスト)を組み合わせた構造床で床組に剛性を持たせるとともに、専用の高強度チェーンとの組み合わせで、最大積載荷重350㎏/m2、最大吊チェーンピッチ5m×5m、最大床跳ね出し長5mを実現。床面を先行施工し、その床面を使用して吊元を設置する先行床施工により、身を乗り出しての不安全作業が皆無となる。
チェーンの多い従来型の吊足場と異なり、クイックデッキの吊チェーンピッチは標準で2・5m。吊元が少ないため、フロア内で台車が使用できるほか、最大積載荷重350㎏/m2の構造床の採用により、荷置き場や資材置場を確保できる。標準2・5mの跳ね出し床は、緊急時の避難通路や荷取り場としても活用できる。
21年11月時点の採用実績は1000件超。国土交通省や高速道路会社、JR、地方自治体等が発注した橋梁や水門、高架橋の修繕工事、ゲート設備の修繕工事などで採用されている。宮崎県内では、国土交通省発注の宮崎大橋(下りP4~P7)耐震補強・補修工事、宮崎県発注の国道218号天馬大橋4工区で採用された。
2日に見学会を行った森塗装施工の「国道269号青井岳大橋橋梁補修工事その1」の現場では、チェーンピッチ2・5m、張出長2・5mといった吊スペックを継承しつつ、デッキパネルや床組枠を軽量化したクイックデッキ「light(ライト)」を採用。設置は日向市の司建設有限会社(河野秀人代表取締役)が担当した。
参加者への説明は、国内でクイックデッキを提供する日綜産業株式会社(本社=東京都)事業本部の吉川博之推進部長が担当。塗装工事での採用メリットとして、タッチアップが少なく、施工面積を大きく取れることで品質が向上するとともに、車輪付き台車を使用することで中段足場が省け、作業効率が向上することなどを紹介した。
吉川氏はこのほか、クイックデッキの床跳ね出しを利用してクリーンルームや送風機・避難通路を設置したブラスト工事の事例も紹介。見学会に参加したコンサル会社の技術者に対しては、、施工者に適切な仮設の活用奨励を行うともに、必要に応じて施工条件として提示するなど、「設計段階で最適な仮設を検討して」と呼び掛けた。
説明後には、参加者からの質疑に対応。森塗装の園田社長は、「単価として見れば従来工法よりも割高になるが、施工時の作業性や作業員の安全性などトータルで考えれば、それを十分に上回る効果がある」と話した。
同日には、宮崎大学地域資源創成学部の准教授と学生も現場を訪ね、フロア内部を見学しながら、システムの概要や特長について説明を受けた。クイックデッキの詳細は日綜産業のホームページで確認できる。問い合わせ先は、同社福岡支店(電話092-262-1641)。