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五ヶ瀬川整備基本方針を見直し ピーク流量8700m3に

 国土交通省は、五ヶ瀬川水系河川整備基本方針(宮崎県・大分県・熊本県)と新宮川水系河川整備基本方針(和歌山県・三重県・奈良県)を変更した。気候変動による影響を考慮した全国初の河川基本方針の見直しとなる。将来の降雨量の増大を考慮するとともに、流域治水の観点も踏まえた内容に見直した。

 見直しでは、将来の降雨量の増加(1.1倍)を見込んだ上で、両水系とも想定される洪水最大流量(基本高水のピーク流量)を2割増しに設定した。新たなピーク流量は、五ヶ瀬川水系が8700m3、新宮川水系が2万4000m3。流域治水の視点を踏まえ、洪水調節施設と河道の対策を組み合わせて、ピーク流量を抑える。

 五ヶ瀬川水系の洪水調節施設については、流域の土地利用や雨水の貯留・保水遊水機能の今後の具体的取り組み状況を踏まえ、具体的な施設配置等を検討していく。

 アユの産卵場が河道内に点在することから、河道掘削等にあたっては、川が本来有している動植物の生息・生育・繁殖環境や河川景観の保全・創出や河川利用等との調和に配慮するなど、良好な河川空間の形成を図りながら実施していく。

 河川沿いの浸水しやすいエリアでは、堤防整備とあわせて背後地の土地の嵩上げ等の取り組みを関係機関と連携して実施。支川の北川では、従来からの遊水機能を有している霞堤の保全と持続的管理及び水勢などを減じる河畔林の保全、関係機関や地域住民と連携した土地利用の調整や宅地の嵩上げ等を実施する。

 国交省では、見直した基本方針に基づき、河川整備の一層の加速化を図るとともに、あらゆる関係者と協働による流域治水の対策を強化し、安全・安心な地域づくりに取り組む。他の一級水系についても、速やかに河川整備基本方針を見直す考えでいる。