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下水道施設耐水化、中島町ポンプ場などで実施 延岡市

 延岡市は、「下水道施設耐水化計画」の素案をまとめた。洪水や津波による処理場・ポンプ場の浸水想定等を踏まえ、今後10年程度で耐水化を図る施設に▽富美山第1雨水ポンプ場▽中島町ポンプ場▽別府汚水中継ポンプ場―の3箇所を選定。新設中の富美山第1雨水ポンプ場と、建替を計画する中島町ポンプ場で、耐水化を考慮した施設整備を検討するとともに、別府汚水中継ポンプ場では防水扉の設置等を実施する。

 2019年東日本台風や20年7月豪雨等で、全国各地の下水道施設が浸水により機能停止し、市民生活に多大な影響を与えたことを受けて、国土交通省は各自治体に通知を発出。「被災時のリスクの高い下水道施設」について、対策浸水深や対策箇所の優先順位等を明らかにした耐水化計画を21年度までに策定するよう求めている。

 これを踏まえ、市がまとめた「下水道施設耐水化計画案」では、既往風水害の事例や市内処理場及びポンプ場における浸水想定等を基に、洪水及び内水に係る耐水化の対象外力を設定。被災時のリスクの高い下水道施設として、▽須崎町ポンプ場▽中島町ポンプ場▽別府汚水中継ポンプ場▽富美山第1雨水ポンプ場―の4箇所を抽出した。

 このうち、今後10年程度で耐水化を図る施設には、今後5年程度での建設を予定している富美山第1雨水ポンプ場、今後5~10年程度で建替えを予定している中島町ポンプ場、津波による浸水が想定される別府汚水中継ポンプ場を選定。須崎町ポンプ場は、今後10~20年程度で建て替えを予定しているため、計画の対象外とする。

 内水対策として整備中の富美山第1雨水ポンプ場(新設)に関しては、雨水ポンプ(300m3/分)や調整池(5700m3)のほか、現場操作盤、受変電設備、自家発電設備等を整備。現在は施設整備に係る設計業務を行っており、耐水化を考慮した施設整備を進めていく。22~25年度の概算事業費は10億4800万円(工事)を見込む。

 中島町ポンプ場に関しては、耐水化を考慮した施設の建て替えを検討する。既存施設の処理能力は、汚水ポンプ16m3/分、雨水ポンプ240m3/分。26年度に改築設計、28年度以降に改築工事を行う見通しでいる。26年度~30年度の概算事業費は15億8000万円(設計1億220万円、工事14億5800万円)を見込む。

 一方、別府汚水中継ポンプ場に関しては、津波による浸水も考慮した防水化(防水扉の設置等)を実施。26年度に防水化設計(事業費1000万円)、27年度に防水化工事(同9900万円)を行う予定でいる。このほか、当該計画の対象外とした須崎町ポンプ場に関しても、業務継続計画に基づく土嚢や止水板等の簡易な対策を行う。

 延岡市がまとめた下水道施設耐水化計画案は、ホームページや各総合支所及び支所などで公開し、市内居住者等を対象に11月9日まで意見を募集する。提出された意見は、内容ごとに整理・分類して、これに対する市の考えとともに公開する。問い合わせ先は、上下水道局下水道課計画係(電話0982-22-7024)。

■富美山地区雨水処理施設整備事業計画案

 延岡市は、下水道施設耐水化計画案と合わせて「富美山地区大規模雨水処理施設整備事業計画案」も公表した。2005年9月に発生した台風14号等で甚大な内水浸水被害が発生した富美山地区に於いて雨水ポンプ場等の整備を行い、事業計画で設定する計画降雨(71㎜/h)に対して床上浸水被害の解消を図る。

 事業計画は、雨水ポンプ場の建設にあたり、雨水処理を担う大規模な下水道施設の設置等を集中的に実施することを目的として、国土交通省が2020年度に創設した「大規模雨水処理施設整備事業」を活用し、国から財政的な支援を受けるためにまとめたもの。

 当該事業では、ハード対策として、下水道管理者である市が排水能力5.0m3/秒の富美山第1雨水ポンプ場(調整池併設型、調整池容量5700m3)と、排水能力2・5m3/秒の富美山第2雨水ポンプ場を整備。ソフト対策では、内水ハザードマップの見直し・公表や水位観測情報の提供、土嚢の事前配布を実施するとしている。

 このうち第1雨水ポンプ場に関しては、22~25年度に10億4800万円をかけて建設工事を実施。第2雨水ポンプ場に関しては、24~26年度に4億5500万円を投じて施設の整備を行う予定でいる。費用対効果の分析結果では、当該事業の実施に伴い、建物浸水等の被害額が10億7300万円が軽減されるという。

下水道施設耐水化計画案