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卸売市場経営戦略案、再整備へあり方など検討 宮崎市

 宮崎市は、安定的な市場事業の継続を目的とした「宮崎市卸売市場特別会計経営戦略」の素案をまとめた。使用料収入や支出に関する戦略に加え、個別施設計画に基づく計画的な施設の更新・維持管理を推進するとともに、市場の目標耐用年数である60年(2037年度)以降の再整備に向けて、庁内プロジェクト等で市場のあり方を検討することを盛り込んだ。

 公営企業の経営に際して、経営基盤の強化と財政マネジメントの向上を求める総務省からの通達を踏まえ、市は公営企業会計に準ずる「卸売市場特別会計」の現状を整理。安定的に事業を継続していくため、市場関係者へのヒアリングや関係者でつくる協議会での意見聴取の結果等を踏まえ、課題解決に向けた経営戦略の素案をまとめた。

 経営戦略は、開設者及び市場関係者が一体となり、安定的な市場事業の継続を行っていくための指針と位置付ける。計画期間は21~30度の10箇年。現状を踏まえつつ、長期的な視点をもって持続可能な運営の実現を図るとともに、市場が目指す将来像とその実現のための戦略を、生産者や小売業者等はもとより市民へ公表する。

 素案では、人口減少・少子高齢化、食料品流通の状況、法改正といった卸売市場を取り巻く環境の変化や現状のほか、これまでの取り組みを整理。これを踏まえ、空きスペース等の活用といった「使用料収入等に関する戦略」、計画的な施設整備や維持管理費用の削減といった「卸売市場特別会計の支出に関する戦略」をまとめた。

 施設整備に関して、市が20年度に策定した個別施設計画では、▽21年度=青果水産卸売場棟、冷蔵庫棟▽22年度=青果水産卸売場棟、管理事務所棟、総合食品・関連商品売場棟▽23年度=水産倉庫棟、その他施設▽24年度=バナナ加工施設―の大規模改修を計画。これに伴う電気・機械・給排水・土木インフラの改修も実施する。

 一方で、25年度以降は整備工事を行わず、市場の目標耐用年数である60年(37年度)を迎えるまで、修繕による機能維持のみを実施するが、必要に応じて計画の見直しを行い、施設整備及び維持管理費用の削減を図る。同時に、目標耐用年数が経過した後の市場のあり方について、21年度から庁内プロジェクト等で検討するとした。

 21~23年度に行う市場のあり方の検討では、建て替えや移転、施設規模、PFIなどの運営方法、流通変化への対応等について協議を行い、再整備に伴う支出の削減や新たな機能の強化を図る。24年度以降も協議・検討を行いつつ、基本構想や事業計画の策定、設計・工事、機能移転を経て、38年4月の新市場開設を計画する。

 経営戦略に掲げる計画の具体的な推進に向けては、開設者及び市場関係者がそれぞれの役割を果たしながら、目的を共有して取り組むとしている。定期的に進捗状況の確認を行い、運営協議会において報告を行うとともに、中・長期的な取り組みに関しては、卸売市場を取り巻く環境の変化を踏まえながら、適宜、計画の修正を行う。

 経営戦略の素案は、宮崎市のホームページや市民情報センター、各総合支所・地域センター・地域事務所、市場課などで公開し、市内居住者などを対象に11月5日まで意見を募集する。意見はホームページ内の専用フォームや電子メール、書面で提出する。提出先は宮崎市農政部市場課(宮崎市中央卸売市場管理事務所)。

経営戦略案の概要版