高千穂町と日之影町、五ヶ瀬町の西臼杵郡３町は、「西臼杵地域における医療連携に係る基本構想(案)」をまとめた。長期的に医療提供体制を存続させるため、当面の間は、既存施設を活用した機能再編を中心に、地域完結型医療を目指すとともに、一部事務組合による３公立病院の経営統合を早期に実現する方向性を示した。
基本構想案は、３町でつくる西臼杵地域公立病院統合再編協議会(甲斐宗之会長)がまとめたもの。西臼杵郡には、高千穂町国民健康保険病院、日之影町国民健康保険病院、五ヶ瀬町国民健康保険病院の３つの公立病院と１つの民間病院が所在し、西臼杵郡に延岡市を加えた圏域が、延岡西臼杵二次医療圏として位置付けられている。
人口減少に伴う医療提供体制の見直しが急務となる中、３町は２０２０年１２月、学識経験者や医療関係者、行政関係者、住民代表者で組織する地域医療のあり方検討委員会を設置。３つの公立病院のあり方について検討を重ねるとともに、公立病院の職員や地域住民に対する説明会等を行い、医療連携に係る基本構想案をまとめた。
基本構想案では、西臼杵郡における地域医療の現状と課題、３公立病院の内部環境の分析結果、地域医療課題の将来予測を踏まえ、「西臼杵郡の地域医療を長期的(２０４０年以降)に存続させること」を共通のゴールと認識。その上で、西臼杵郡３公立病院の医療機能や医師確保、経営形態に於ける今後の方向性などを示した。
具体的には、各病院の役割を明確化した入院医療機能の再編や、ＩＣＴ等を活用した外来・在宅診療の医療提供体制の充実、医師を惹きつける魅力ある病院・地域づくりに取り組むとした。経営形態に関しては、３町の病院事業を一部事務組合(地方公営企業法全部適用)で経営統合し、医療提供体制及び経営基盤の強化を目指す。
これらの医療機能を見直す前提条件として、３公立病院の既存建物が活用できる３０年頃までは、病院の経営統合・機能再編を図りながら、西臼杵地域における持続可能な地域完結型医療の確立を目指す。また、既存建物の活用が困難になる３０年以降は、新病院の建て替えを含めた抜本的な医療提供体制の見直しを予定する。
基本構想案は各町のホームページ等で公開し、西臼杵郡内に居住する者や事務所・事業所を有する個人または法人等を対象に、１０月５日まで意見を受け付ける。提出先は、西臼杵地域公立病院統合再編準備室(〒８８２－１１９２高千穂町大字三田井１３、ＦＡＸ０９８２－８２－２０３３、電子メールjyunbishitu@town-takachiho.jp)。