国土交通省は、九州ブロックにおける社会資本整備重点計画を決定した。自然災害の激甚化・頻発化やインフラの老朽化、グリーン社会の実現といった社会情勢の変化に対応するため、防災・減災が主流となる社会の実現や持続可能なインフラメンテナンス、インフラ分野のDX(デジタル・トランスフォーメーション)などに取り組む。
地方ブロックにおける社会資本整備重点計画は、2021年5月28日に閣議決定された第5次社会資本整備重点計画に基づき、各地方の特性に応じて社会資本を重点的・効率的・効果的に整備するための計画として、国が策定するもの。地方公共団体や地方経済界、有識者等との意見交換も踏まえ、九州ブロックの計画を決定した。
計画では、九州ブロックにおける社会情勢の変化を踏まえ、①防災・減災が主流となる社会の実現②持続可能なインフラメンテナンス③持続可能で暮らしやすい地域社会の実現④経済の好循環を支える基盤整備⑤インフラ分野のDX⑥インフラ分野の脱炭素化・インフラ空間の多面的な利活用による生活の質の向上―を重点目標とした。
防災・減災に関しては、気候変動による水害リスクの増大に備えるため、あらゆる関係者が協働して行う流域治水を推進。公共土木施設の耐震対策のほか、発災直後から救命・救助活動等が迅速に行われるよう、高規格道路のミッシングリンクの解消や暫定2車線区間の4車線化、災害時の道路閉塞を防ぐ無電柱化等を推進する。
重点施策の達成状況を確認するための代表的な指標(KPI)として、25年度時点に於ける流域治水プロジェクト策定水系数を118、戦後最大洪水等に対応した河川の整備率を1級で77%、2級で87%、高規格道路の4車線化優先整備区間の事業着手率を約47%、高規格道路のミッシングリンク改善率を約30%と設定する。
持続可能なインフラメンテでは、予防保全型のメンテナンスへの移行やICTを活用した点検等の実施、ICTに対応できる技術者・技能労働者の育成等に取り組む。KPIに関しては、予防保全型インフラメンテナンスの転換に向けた施設の修繕率として、道路橋で約73%、道路舗装や河川、下水道で100%などと設定する。
持続可能で暮らしやすい地域社会の実現では、中山間地域等における生活圏との交通アクセスの確保、都市部のコンパクト化と周辺等とのネットワーク形成等を推進。経済の好循環を支える基盤整備では、外航クルーズ船の寄港増や大型化に対応するための岸壁整備、空港機能の強化、九州新幹線西九州ルートの整備推進などを図る。
インフラ分野のDXでは、情報技術の利活用や新技術の社会実装を通じてインフラの機能を高度化・利便化し、全ての地域、全ての人が情報化社会の中で快適な暮らしが営める社会を構築する。脱炭素化では、豊かな自然環境が有する多様な機能を活用し、自然環境との調和を推進するとともに、利用者目線に立ったインフラ空間を構築する。