国土交通省は、建設分野の特定技能外国人の技能評価試験をベトナムで初めて実施すると発表した。対象の職種は「鉄筋施工」で、建設技能人材機構(JAC)が2月下旬から現地で教育訓練を行い、3月23日に同国で初めての技能評価試験を実施する。合格者は受け入れ企業と雇用契約を結び、受け入れ計画の審査と入国審査を通過すれば、最短で今夏にも日本での就労を開始する。
日本に在留する技能実習生は40万2356人(20年10月末時点)で、このうちベトナム国籍はおよそ半数の21万8600人。これまでに特定技能の在留資格を取得した外国人で見ても、6割がベトナム国籍となっており、分野を問わずベトナムに対する日本企業の雇用ニーズは高い。
ただ、これまでに特定技能の在留資格を取得した外国人は、一部で国内試験は行っているものの、技能評価試験を免除される技能実習修了者などからの移行がほとんど。新型コロナウイルス感染症の拡大の影響などを受け、ベトナムで技能評価試験は実施されておらず、今回の建設分野が全分野を通じて初めてとなる。
3月23日に鉄筋施工の技能評価試験の会場はJACと提携している第一建設短期大学(ハノイ)。2月下旬から教育訓練も行い、技能評価試験に備えてもらう。試験にはJACが派遣する試験官が立ち会う。JACの公募に応じて求人を希望している企業があり、JACが合格者と各企業を無料でマッチングする。
国交省は、新型コロナウイルスの感染状況も考慮しつつ、現地国で試験を実施し、即戦力となる特定技能外国人を受け入れたい考え。鉄筋施工に先立つ3月9・10日にはフィリピンで電気通信の技能評価試験を実施する他、多職種でも海外試験を行えるよう、試験実施主体であるJACと調整を進めている。