宮崎県警察本部は、「社会の変化に適応するための組織体制の再編整備に係る基本方針(案)」をまとめた。サイバー人財育成のための体制整備や先端技術等の導入、捜査力の強化と支援体制の確立、交番・駐在所の統廃合による現場執行力と機動力の向上を図るとともに、高岡・都城・日南警察署の整備検討を早期に進めるとした。
昨今の人口減少や急速な高齢化、国際化の進展、サイバー空間の利用を前提とする様々な技術・サービスの普及等に加え、新型コロナウイルス感染症の感染拡大といった社会の変化に適応し、変容する治安上の課題に適切に対処していくため、これまでに部門横断的に検討を重ね、組織体制の再編整備に係る基本方針案をまとめた。
具体的には、日常生活の中でサイバー空間や先端技術の利用が拡大していることを踏まえ、サイバー犯罪等に対応できる捜査官等を育成するための体制を整備。災害現場等での情報収集に有効なドローン、業務効率の向上に資するAIやRPAを活用するための体制を整備するとともに、電子決裁の導入など業務のデジタル化を推進する。
昨今の犯罪の悪質化・巧妙化等を踏まえ、DNA型鑑定やその他の捜査力の向上に資する科学技術を効果的に活用するための体制も整備する。若手警察官の捜査力向上を図るため、経験等に裏打ちされたベテラン捜査員の技能等を組織的に伝承する制度を整備するとともに、多角的な特殊詐欺対策の推進を図る。
また、交番勤務中の警察官が襲撃されるなどの事案が発生していることを踏まえ、地域の実情を踏まえながら、交番・駐在所の統廃合を進め、拠点となる交番等に十分な人員を配置できる体制を整備する。統廃合による地域住民の不安解消や事案発生時の迅速な現場臨場を確保するため、警察署のパトカーの運用体制を増強する。
管内の人口減少が著しく、事件事故等の発生件数が少ない警察署については、例えば、管内の治安維持に最低限必要となるパトロールや事件事故等への初動対応等に要する体制のみを残し、それ以外の許可等に係る申請の受付業務等は隣接警察署等に移管するなど、組織体制の合理化を検討していく。
このほか、社会情勢を踏まえた警察署の整備に関しては、水害に対して脆弱な場所に位置し、老朽化が進んでいる高岡警察署庁舎、それぞれ全国で一番目と二番目に古い都城警察署庁舎及び日南警察署庁舎について、宮崎県公共施設等財産総合管理計画の個別施設計画に基づき、整備の検討を早期に進めていくとした。