今後発注が予定されている県内の主な土木プロジェクトについて、各事業の整備内容や進捗状況等をまとめた。
国土交通省は「東九州道清武JCT~北郷」「日南・志布志道路」「油津・夏井道路」「五ヶ瀬高千穂道路」「蘇陽五ヶ瀬道路」「高千穂日之影道路」「都城道路及び都城道路Ⅱ期」「日南防災(北区間)」「同(南区間)」といった道路事業のほか、河川改修事業や岩瀬ダム再生事業、砂防事業、港湾事業などを推進する。
宮崎県は「木脇高岡線太田原・宮王丸工区(高岡土木事務所)」「国道447号真幸工区(小林土木事務所)」「高城山田線王子橋・志和池工区(都城土木事務所)」「国道327号佐土の谷工区(日向土木事務所)」「国道327号永田工区(前同)」「北方北郷線川水流橋工区(延岡土木事務所)」「竹田五ヶ瀬線波帰之瀬工区(西臼杵支庁)」などを推進する。
◆ 東九州自動車道清武JCT~北郷(国土交通省)
清武JCT~北郷間は、宮崎市の清武ICから日南市の北郷ICまでの19㎞を結ぶ高速自動車国道。新直轄事業方式で国土交通省が整備を担当する。全体事業費は1,622億円。19年度末時点の事業進捗率は、事業費ベースで約84%、用地ベースで100%。
12年に清武JCT~清武南IC(1.2㎞)が開通。残る延長17.8㎞は全区間が着工済。区間内には橋梁14橋やトンネル12本を整備する。トンネルの非常用設備・付属物工等を除き、大型構造物が概ね完成し、本線土工部も全区間で着手している。
区間内のトンネルや橋梁上部工が概ね完了するなど、大規模構造物の工事工程に目処が立ったことに加え、芳ノ元トンネル周辺の地すべり対策の実施に伴い、変位が収束傾向にあることなどから、順調に進捗した場合、22年度に開通する見通し。
◆ 国道220号日南・志布志道路(国土交通省)
東九州道の一部を構成する国道220号日南~志布志間は、日南市と志布志市を結ぶ延長約40㎞の路線。区間内の一部として、日南東郷IC~油津ICの日南区間(延長3.2㎞)と夏井IC~志布志ICの志布志区間(同3.7㎞)が16年度に事業化された。
全体事業費は約222億円で、概算数量は▽土工約134万m3▽法面工約16万m2▽橋梁工7箇所▽IC2箇所▽舗装工約7万m2―を見込む。19年度末時点の進捗率は、用地ベースで約35%、事業費ベースで約14%。19年10月に一部区間が着工した。
20年度は調査設計や益安地区等の用地買収、益安地区改良工や益安橋下部工等を推進する。なお、片方向のみ乗降可能なハーフICとして計画していた日南東郷ICは、地元の要望等を踏まえ、両方面に乗降可能なフルICに変更する。
◆ 国道220号油津・夏井道路(国土交通省)
東九州自動車道の一部を構成する国道220号日南~志布志間のうち、日南市平野~南郷町中村甲の油津区間(延長6.4㎞)と、串間市串間~志布志市志布志町の串間・夏井区間(延長14.1㎞、県内区間は約9.7㎞)の2区間。いずれも19年度に事業化された。
油津区間は全体の約6割(4.0㎞)が土工で、区間内にはトンネル1箇所(1,730m)と橋梁6基(①10m②290m③30m④50m⑤340m⑥20m)を計画する。インターチェンジは、日南・志布志道路と接続する起点の油津IC、終点の南郷ICの2箇所。
串間・夏井区間は全体の約9割(12.6㎞)が土工で、区間内にはトンネル2箇所(①690m②400m)と橋梁9基(①20m②50m③110m④30m⑤30m⑥50m⑦40m⑧40m⑨50m)を計画する。ICは、起点の奈留と終点の夏井、中間地の串間の3箇所。
全体事業費は約750億円で、19年度末時点の進捗率は、用地ベースで0%、事業費ベースで約1%。20年度は路線整備に係る調査設計等を推進する。
◆ 国道218号五ヶ瀬高千穂道路(国土交通省)
九州中央自動車道の一部を形成する国道218号五ヶ瀬高千穂道路は、五ヶ瀬東ICを起点、高千穂ICを終点とする延長9.2㎞の自動車専用道路(2車線)。防災機能の強化や緊急医療活動の支援、東九州自動車道などの高速道路網と一体となった広域観光ルートの形成による観光振興支援などの効果を期待し、18年度に事業化された。
主要構造物は▽橋梁10橋▽トンネル4箇所▽インターチェンジ2箇所―などを計画。橋梁は100m以上の長大橋が5橋、100m未満の中小橋が4橋、跨道橋が1橋。トンネル4箇所の延長は、2,430m、350m、1,050m、770mと想定。起点と終点にICを設ける。
全体事業費は約470億円で、19年度末時点の事業進捗率は、用地ベースで0%、事業費ベースで約2%。20年度は、区間内のトンネルを含む調査設計や室野地区ほか用地買収着手、支障物件移設補償などを推進する。
◆ 国道218号蘇陽五ヶ瀬道路(国土交通省)
九州中央自動車道の一部を形成する国道218号蘇陽五ヶ瀬道路は、熊本県の山都町塩原を起点、本県の五ヶ瀬町三ヶ所を終点とする延長7.9㎞の2車線道路。両県の県境部に位置し、信頼性の高い高速ネットワークの形成や、走行性・安全性の向上に伴う物流効率化、移動時間短縮に伴う観光振興の支援等を目標に掲げる。
主要構造物として、本県側に橋梁3箇所(橋長260m、同60m、同220m)とトンネル2箇所(延長250m、同240m)、熊本県側に橋梁2箇所(橋長230m、同50m)とトンネル1箇所(延長400m)を計画し、インターチェンジ3箇所を整備する。全体事業費は約320億円。20年度に新規事業化された。
昨年11月23日に中心杭打ち式を開催し、路線の本格的な整備に着手した。20年度は調査設計等を推進する。
◆ 国道218号高千穂日之影道路(国土交通省)
国道218号高千穂日之影道路は、線形不良箇所の解消や防災対策、交通事故の低減等を目的として整備する。高千穂町三田井を起点、日之影町七折を終点とする延長5.1㎞の2車線道路。全体事業費は約268億円で、19年度末時点における進捗率は、用地ベースで100%、事業費ベースで約92%となっている。
18年には起点側の雲海橋交差点~日之影深角IC間(2.8㎞)が開通。現在は、新平底トンネル(1,665m)を含む日之影深角IC~平底交差点間(2.3㎞)の整備が進められている。このうち、日之影深角IC部で実施していた軟弱地盤対策が完了し、残る工事工程を精査した結果、21年内に開通する見通しとなった。
◆ 国道10号都城道路/都城道路Ⅱ期(国土交通省)
国道10号都城道路は、地域高規格道路として整備する都城志布志道路のうち、都城ICと五十町ICを結ぶ延長13.4㎞の自動車専用道路。乙房IC~五十町IC(7.7㎞)を都城道路、都城IC~乙房IC(5.7㎞)を都城道路Ⅱ期と位置付ける。
都城道路は、12年3月に平塚IC~五十町IC(延長1.9㎞)の供用を開始しており、ここから都城IC側に延伸する横市IC~平塚IC間(2.8㎞)が19年3月に開通した。残る乙房IC~横市IC(3.0㎞)は、21年度の開通を予定している。
一方、大淀川橋(橋長265m)を含むⅡ期地区の全体事業費は258億円。区間内に架設する橋梁の構造見直しや函渠の追加、農業用パイプラインの移設延長の追加、盛土材の追加改良対策に伴い、これまで約160億円としていた事業費に98億円を増額する。
増額後の事業費に対する19年度末時点の事業進捗率は、用地ベースで約98%、事業費ベースで約25%となっている。20年度は調査設計や高木地区用地買収、支障物件移設補償、金田地区ほか改良工、大淀川橋下部工、大淀川橋ほか上部工を推進する。
◆ 国道220号日南防災(北区間)(国土交通省)
大雨等の異常気象時に通行規制の対象となる国道220号の宮崎市内海~日南市富土区間を、一部現道を活用してバイパスで整備する。整備延長は2.6㎞で、幅員は10.5m(2車線)。全体事業費は約95億円を見込む。19年度末時点の事業進捗率は、用地ベースで約65%、事業費ベースで約57%となっている。
区間内の鶯巣地区と伊比井地区に、土砂崩れの危険性が高い箇所を回避するためのトンネル(鶯巣地区882m、伊比井地区724m)を整備する。伊比井潮風トンネルを含む伊比井地区(0.9㎞)は20年4月に開通。20年度は、鶯巣地区の調査設計や用地買収、支障物件移設補償、道路改良工事などを進める。
◆ 国道220号日南防災(南区間)(国土交通省)
国道220号日南防災は、降雨等による異常気象時通行規制や土砂災害時の通行止めで発生する沿線集落の孤立や迂回の解消を目的として整備するもの。災害時の救急活動等に機能する信頼性の高い道路ネットワークを形成する。
20年度に新規事業化された南区間は、特に対策が急がれる宮浦遮断機付近から新鵜戸トンネルまでの区間(日南市宮浦字鳥越~松ケ迫)をバイパス方式でで整備する。整備延長は約1.7㎞で、全体事業費は約80億円。区間内には橋梁やトンネルを整備する。
昨年11月14日に中心杭打ち式を開催し、路線の本格的な整備に着手した。20年度は調査設計や測量業務を推進する予定でいる。
◆ 国道10号住吉道路(国土交通省)
宮崎市北部に位置する住吉道路は、県東部を縦貫する国道10号の一部で、佐土原バイパスと宮崎北バイパスに挟まれた2車線区間。交通容量や安全性の確保、災害時や救急搬送時における信頼性の向上、移動速達性の確保を図るため、国は国道10号の西側(山側)に4車線のバイパスを整備する対応方針を決めている。
整備区間は概ね田畑や山地で、自然環境の改変を伴うが、生活環境への影響は小さく、家屋・店舗移転等も少ない。整備延長は約6㎞で、概算整備費は約380~430億円を見込む。こうした道路計画案を踏まえ、事業を所管する国土交通省は20年7月、環境影響評価方法書の事業者案を宮崎県に提出した。
国交省が提出した事業者案を基に、県は20年8月~9月に環境影響評価方法書の縦覧を実施。西側バイパス案を選定した経緯や調査区域に於ける自然的状況の特性、産業や土地利用といった社会的状況の特性、環境関係法令等による規制のほか、専門家の助言を踏まえた環境影響評価の項目と調査・予測・評価手法を示した。
事業者が実施する環境影響評価の結果を踏まえ、県は環境影響評価準備書や環境影響評価書の作成・公告・縦覧を行う。同様に、事業者が作成する道路計画案を踏まえ、都市計画決定に係る公告・縦覧や地元説明会、都市計画審議会への諮問等の手続きを進める。
◆ 大淀川岩瀬ダム再生(国土交通省)
頻発する渇水や洪水が企業等の生産活動に及ぼすリスクを早期に軽減するため、既設ダムの貯水能力を最大限活用することが有効であることから、「ダム再生ビジョン」を踏まえ、既設ダムを最大限に活用したソフト・ハード対策を戦略的・計画的に進め、利水・治水両面にわたる効果を早期に発揮させる。
岩瀬ダム再生事業(小林市・都城市)では、洪水期に於ける既設ダムの発電容量及び死水容量を洪水調節容量に振り替えることで、洪水調節容量を現行の約3,500万m3から約5,000万m3に増大させるとともに、容量振替分に対応できる放流設備の増設等を行うことにより、下流域の治水機能の向上を図る。
全体事業費は約500億円。20年度は地質調査業務や測量業務、地質解析業務、発電影響検討業務、増設放流設備構造検討等を推進する。
◆ 大淀川河川改修事業(国土交通省)
一級河川大淀川の直轄管理区間(L=86.1㎞)に於いて、築堤や浸透対策、護岸整備等を実施すると共に、水防災意識社会再構築に関する取り組みとして、越水時に堤防決壊までの時間を少しでも引き延ばすための危機管理型ハード対策等に取り組む。
全体事業費は606億円。毎年度約15億円程度を投じ、20年度は福島町・大塚町地区の河道掘削(V=50,000m3)や八重川地区の築堤(L=300m)及び樋管新設1基、新地地区の法尻補強(L=1,300m)、大岩田地区の用地調査(A=5.0㌶)等を推進する。
◆ 五ヶ瀬川河川改修事業(国土交通省)
一級河川五ヶ瀬川の直轄管理区間(L=28.5㎞)に於いて、河道掘削や築堤、浸透対策などを実施する。全体事業費は280億円。毎年度約6億円を投じ、19年度は天下地区の防災ステーション整備や野田地区の河道掘削(V=9,000m3)等を推進する。
◆ 大淀川水系直轄砂防事業(国土交通省)
豪雨時に発生する山腹崩壊や土石流等に起因する災害から流域住民の生命や財産を守るため、高崎川流域と庄内川上流域において整備対象土砂量約150万m3を目標に砂防堰堤等を整備する。流域面積は2,230km2、全体事業費は541億円を見込む。
20年度は、荒襲川砂防施設群(20年度完成予定)、丸谷川砂防施設群(20年度完成予定)、湯之元川砂防施設群(20年度完成予定)、高崎川砂防施設群(21年度完成予定)、渡司川1砂防堰堤(20年度完成予定)、砂防設備設計、用地取得(0.5㌶)等を推進する。
◆ 細島港外港地区南沖防波堤(国土交通省)
県北開発の拠点として重要な役割を担う細島港に於いて、入出港船舶の安全を確保し、港内の静穏並びに荒天時における施設の防護を図るとともに、荷役作業の効率性及び安全性を向上させるため、外港地区に防波堤(南沖)を整備する。
南沖防波堤の整備延長は600mで、全体事業費は618億円。年次的にケーソンや消波ブロックの製作・据付工事、上部コンクリート工事を実施する。23年度を目途に完成させる予定だが、完成に向けた円滑な事業実施環境が整った段階で完成時期を確定する。
◆ 宮崎西環状線古城工区(宮崎土木事務所)
主要地方道宮崎西環状線は、宮崎市芳士の国道10号を起点、宮崎市中村西の国道220号を終点とする延長約15kmの主要地方道。市街地西側の環状道路を形成し、都市内の交通渋滞を緩和する共に、市街地周辺地域における円滑な交通を確保する。
このうち古城工区は、宮崎田野線と国道269号加納バイパスを結ぶ区間。整備延長は1.2㎞で、区間内には橋梁2箇所(1号橋=約130m、2号橋=約280m)やボックスカルバート2基を整備する。全体事業費は約58億円で、24年度の完成を目指す。
08年度の着手から地元との協議に時間を要したため事業が長期化している。20年度は、物件等調査業務(再算定)や用地測量業務、路線測量業務、地質調査業務のほか、一部区間の道路改良工事、2号橋の下部工3件(P5~P7)を発注した。
◆ 学園木花台本郷北方線山下工区(宮崎土木事務所)
一般県道学園木花台本郷北方線は、宮崎学園都市の中心部を起点とし、主要幹線である国道220号南バイパスとを結ぶ約4.5㎞の路線。沿道周辺には大学・高校などの教育施設や住宅団地などが立地し、全線が開通すれば利便性の向上が期待される。
路線内のうち、清武川周辺の山下工区が唯一の未整備区間となっており、並行する県道中村木崎線等が代替路線として使用されている。山下工区を整備することで全線が開通し、大規模災害時の救助・救援ルートの確保や周辺の渋滞緩和につなげる。
整備延長は約1.2㎞(2車線・両側歩道)で、全体事業費は約40億円。清武川を渡河する延長400m程度の橋梁の整備を計画し、予備設計までが完了している。20年度は物件等調査業務(再算定)や用地測量業務、一区間の部道路改良工事を進める。
◆ 木脇高岡線太田原・宮王丸工区(高岡土木事務所)
一般県道木脇高岡線は、国富町と宮崎市高岡町を南北に結ぶ約7.0㎞の路線。このうち未整備区間の解消や東九州自動車道へのアクセス強化を目的とした太田原・宮王丸工区の整備延長は約2.2㎞を計画する。全体事業費は約46億円を見込む。
宮王丸工区内の710m区間を部分的に供用済。26年度の事業完了を目指し、盛土構造の道路や宮王丸橋(L=244m)、宮王丸高架橋(L=44m)、明久川橋(L=21m)の整備に年次的に取り組む。
19年度には、明久川橋上下部工(プレテンPC単純床版橋)や宮王丸高架橋(ポステンPC単純T桁橋)の橋台工、宮王丸橋(鋼5径間連続非合成RC床版鈑桁橋)の詳細設計を発注した。
◆ 国道448号石波工区(串間土木事務所)
国道448号は鹿児島県指宿市を起点に、串間市、日南市を経て宮崎市に至る路線。地域振興や地域経済を支え、串間市内の観光地にアクセスする路線であるとともに、宮崎県地域防災計画の中で第2次緊急輸送道路に指定されている。
名谷バイパスに接続する石波工区(串間市)は、異常気象時の事前通行規制区間であり、地すべり地形を成している。このため、力強い経済の浮揚、定住自立を図る地域の発展、安全・安心な暮らしの確保を支援する道づくりとして路線を整備する。
計画延長は3.2㎞(全幅7.5m)で、山間部を貫く約2.6㎞をトンネルで整備する。終点側にあたる2工区(1,044m)は昨年12月10日に入札を執行し、前田・坂下・山崎特定建設工事共同企業体が落札した。今後、起点側の1工区(1,511m)を発注する。
20年度はこのほか、舗装工事や法面工事、交通安全施設工事、掘削ずり対策検討業務などを発注した。
◆ 海岸事業・外浦港海岸(油津港湾事務所)
数十年から百数十年の頻度で発生する津波(L1津波)から人命及び財産を守るため、日南市の地方港湾・外浦港に於いて防潮堤や護岸の新設・嵩上げを行い、L1津波による被害の軽減を図る。対策箇所の総延長は2,570mで、新設が790m、嵩上げが1,780m。整備する防潮堤の地盤からの高さは1.4~2.6m程度とする。
防潮堤等を整備することで、整備前に93万6,000m2と想定される周辺地区の浸水面積は、整備後に9万6,700m2となり、整備前から約9割減少する。同じく、被災家屋数は858世帯から0世帯に、被災事業所数は51事業所から12事業所に減少する。全体事業費は約51億円。事業期間は20~29年度を予定する。
20年度は地形測量業務を発注し、第4四半期にL1津波対策設計業務を発注する見通しでいる。
◆ 国道447号真幸工区(小林土木事務所)
国道447号は、えびの市から鹿児島県伊佐市を経由して出水市に至る路線。県境の山間部は隘路であり、急カーブが多数点在する交通難所であるため、宮崎県側を真幸バイパス、鹿児島県側を青木バイパスとして各県がそれぞれ整備する。
本県区間の整備延長は3.2㎞(幅員7.5m)。起点側の約600m区間を既に部分供用しており、残区間は約2.6㎞となる。残区間にはトンネル1箇所(約1,800m)や橋梁、ボックスカルバートなどを整備する。全体事業費は約105億円を見込む。
これまでに、真幸トンネルの詳細設計や水文調査、真幸4号橋の上下部工を発注済。20年度第3~4四半期に道路改良工事として、盛土工事や取付道路工事を5つの工区に分けて発注する見通しでいる。トンネル発注時期は現時点で未定。
◆ 高城山田線王子橋・志和池工区(都城土木事務所)
県道高城山田線は、都城市の高城町と山田町を結ぶ延長約8㎞の主要地方道。宮崎県の地域防災計画で第2次緊急輸送道路に指定されており、防災の上でも重要な路線であるが、王子橋を含む区間内の約1.4㎞が唯一の未改良区間となっている。
小中学校の通学路であるが当該工区に歩道はなく、王子橋は経年劣化が進むとともに、幅員が狭いことから事故の危険性も高い。周辺に工業団地等が立地していることを踏まえ、安全・安心の確保や経済の浮揚を支援する道づくりに取り組む。
整備延長は、王子橋の架け替え(橋長257m・鋼5径間連続非合成鈑桁橋)と取付道路の整備を行う王子橋工区が0.76㎞、現道に歩道を整備する志和池工区が0.7㎞。全体事業費は約50億円を見込む。事業期間は18年度から28年度までの11年間。
これまでに王子橋の詳細設計や道路詳細設計、地質調査、用地測量、物件調査のほか、王子橋工区の函渠工等を発注済。20年度は、王子橋の下部工3件(P1橋脚・P2橋脚・A2橋台)や王子橋工区の施工ヤード整備工事を発注した。
◆ 国道219号越野尾二之渡工区(西都土木事務所)
国道219号は、熊本市を起点とし、湯前町や西米良村、西都市を経由して宮崎市に至る幹線道路。県内区間約74㎞のうち約13㎞が未改良区間である。幅員狭小や線形不良、急勾配等の区間を解消することで走行性を向上させるとともに、道路防災点検における要対策箇所を解消し、安全・安心な交通の確保を図る。
当該事業では、西米良村越野尾字越野尾を起点、同越野尾字二之渡を終点とする越野尾二之渡工区の改良を行う。計画延長は1.2㎞で、計画幅員は5.5(7.0)m。区間内には、(仮称)1号橋(延長101m)を新設するほか、既設の越野尾橋(延長142m)の拡幅等を行う。全体事業費は約24億円。事業期間は20~28年度を予定。
20年度は道路詳細設計や路線測量業務を発注した。
◆ 東郷西都線松尾工区(高鍋土木事務所)
主要地方道東郷西都線松尾工区は、日向市東郷町と木城町中心部のほぼ中間地点に位置。地域にとって必要不可欠な生活道路であるが、幅員が狭く、災害等による通行規制も発生しているため路線改良を行う。
当初の事業計画による整備延長は1.9㎞(幅員7m)。区間内には、橋長128mのこぶところ大橋(鋼単純ローゼ橋)、橋長32mの松尾2号橋(ポステン単純PC中空床版橋)の整備を計画している。両橋とも詳細設計が完了している。
13年度から一部工事に着手し、道路改良工事や法面工事等が進む。これまでに路線測量業務や擁壁・補強土壁・法面工の予備設計を含む道路詳細設計業務、区間内の地質調査業務を発注。20年度第4四半期に道路詳細設計業務を発注する見通し。
◆ 国道327号佐土の谷工区(日向土木事務所)
国道327号は日向市を起点とし、美郷町、諸塚村、椎葉村を経由して熊本県に至る路線。このうち佐土の谷工区は、椎葉村と諸塚村の境界付近に位置しており、幅員狭小の隘路区間を解消し、安全で円滑な交通の確保を図るため、路線整備を進める。
整備延長は3.4㎞(幅員7m)で、主要構造物はトンネル4箇所、橋梁6箇所を計画。概算事業費は約72億円を見込んでいたが、トンネル掘削時に土質が想定より悪いことが確認され、補助工法等に変更が生じたため、当初計画から20億円増額する。
19年8月には諸塚側の区間の整備が完了したが、椎葉村側の用地難航箇所で不測の日数を要したため、事業が長期化している。未発注の主要構造物は、3号トンネル(延長988m)、4号トンネル(同718m)、5号橋(PC2径間ポステン連続箱桁/L=88m)、6号橋(PC単純ポステン少主桁/L=30m)など。
◆ 国道265号十根川工区(日向土木事務所)
国道265号十根川工区(椎葉村下福良)は、椎葉~五ヶ瀬間の唯一の未改良区間をバイパスと現道拡幅で整備する。整備延長は約2.8㎞(幅員7m)で、区間内にはトンネル2箇所(394m/662m)や十根川橋(9.4m・PC単純プレテン床版橋)を計画する。
両トンネルの詳細設計や橋梁予備・詳細設計、道路詳細設計、路線測量業務、地質調査業務、構造物詳細設計等が完了しており、19年度に十根川橋上下部工や道路改良工事、用地測量業務、路線測量業務等、20年度に道路改良工事を発注した。
◆ 国道327号永田工区(日向土木事務所)
国道327号は日向市を起点とし、美郷町、諸塚村、椎葉村を経由して熊本県山都町に至る幹線道路。15年度に着手した永田工区は、日向バイパスと接続し、国道327号から東九州自動車道の日向ICを繋ぐ路線として整備する。
整備延長は約3㎞(幅員11.5m・2車線)で、起点側の日向IC付近から西北西にルートを取り、国道327号に接続するバイパスを新設する。区間内には延長730m程度のトンネルを整備する。全体事業費は約45億円を見込み、21年度の完成を目指す。
19年度に1号橋下部工や道路改良工事、測量・設計・調査業務、トンネル詳細設計業務等を発注。20年度は1号橋(PCポステン単純T桁/L=36m)の上部工や2号橋(PCポステン単純T桁/L=40m)の詳細設計業務、軟弱地盤技術解析・設計業務を発注した。
◆ 国道388号松瀬工区(日向土木事務所)
国道388号松瀬工区は門川町と美郷町の境から門川町庭谷に至る区間に位置。線形不良や幅員狭小による狭隘区間を解消し、救急医療など沿線地域の生活と福祉の支援、地域間交流の活性化、安全・安心な生活環境の確保を目的に路線の整備を行う。
全体計画では、門川町庭谷から美郷町北郷黒木までの5.8㎞を整備する方針でいるが、長区間の整備により事業の長期化を防ぎ、事業効果を早期に発現させるため、門川町庭谷から町境までの3.9㎞を松瀬工区と位置付け、優先的に整備する。
松瀬工区では、現道の拡幅改良を行いつつ、トンネル1箇所(延長210m)や橋梁2箇所(各90m)を整備する。事業期間は19年度から26年度までを予定。全体事業費は約56億円を見込む。20年度は道路設計業務や地質調査業務を発注した。
一方、町境から美郷町北郷黒木の1.9㎞区間は、松瀬工区の進捗状況を踏まえて事業に着手する。主要構造物として、トンネル2箇所(660m、130m)や橋梁1箇所(30m)の整備を計画しており、これを含む路線全体の事業費を約95億円と試算する。
◆ 港湾改修事業・細島港(北部港湾事務所)
木材需要の高まりを背景に、原木輸出量の更なる増加を図るため、既存の15号岸壁と17号岸壁の間に、水深10mの16号岸壁(延長170m)やふ頭用地(A=7,500m2)を整備するほか、大型船の入出港に対応できる泊地(V=3万7,000m3)を行う。
全体事業費は25億円。事業期間は19年度~23年度を計画するが、16号岸壁とふ頭用地は21年度までに完成させる考えでいる。20年度は、16号岸壁のケーソン製作工事や高潮対策工事、防波堤改良工事、コンテナターミナル高潮対策検討業務等を発注した。
◆ 海岸事業・古江港海岸(北部港湾事務所)
数十年から百数十年の頻度で発生する津波(L1津波)から県民の生命や財産を守るため、地元との合意形成が図られた古江港海岸(古江地区)の整備に取り組む。全体事業費は約45億円。事業期間は19年度~28年度を予定する。
具体的には、既設防波堤の嵩上げ(高さ1.5m~2.5m程度、改良延長548m)を行うほか、一部区間で防波堤の新設(L=80m)を行う。防潮堤に関しても同様に、既存防潮堤の嵩上げ(L=1,380m)と新設(L=840m)を行う。
整備に伴い、L1津波による浸水面積が整備前と比べて9割減少し、被災家屋数は0世帯(整備前172世帯)、被災事業所数は1事業所(同99事業所)となる。19~20年度に地質調査業務や深浅測量業務、西防波堤基本設計業務を発注した。
◆ 水産生産基盤整備事業・土々呂漁港(北部港湾事務所)
L1津波による港湾施設の被災や背後地域への浸水被害を軽減させるため、延岡市の土々呂漁港で陸揚岸壁や防波堤の地震・津波対策を実施するとともに、海岸保全施設との多重防護により災害後の生産体制を維持する。また、防波堤の新設や改良・延伸も行い、港内の静穏度を確保して、安定的な水産物供給体制の確保を図る。
当該事業では、東防波堤の新設(延長80m)や西防波堤の改良及び延伸(延長219m)、既設岸壁の改良(延長99m)を実施。防波堤及び岸壁のいずれも、L1津波への対応として粘り強い構造を採用する。概算事業費は約24億円(東防波堤9億円、西防波堤13億円、岸壁2億円)。事業期間は20~29年度を予定する。
20年度第4四半期に深浅測量業務や地質調査業務、防波堤基本設計業務を発注する見通し。
◆ 一般廃棄物最終処分場建設(日向東臼杵広域連合)
日向市と門川町、美郷町、諸塚村、椎葉村で構成する日向東臼杵広域連合は、圏域から排出される可燃ごみの焼却灰や埋立て処分する不燃物について、現在、日向市一般廃棄物最終処分場で埋立て処理を行っている。現在の処分場の埋立て終了時期が迫っていることから、新たな一般廃棄物最終処分場を建設する。
新たな処分場の埋立容量は約6万m3で、管理事務所や浸出水処理施設、防災調整池等を整備する。用地面積は約3.6㌶を想定。敷地の内訳は、最終処分場の埋立面積が10,000m2、同じく管理棟・浸出水処理施設・防災調整池が4,000m2、その他の取付道路や場内道路、法面等が22,000m2を見込む。
新たな処分場の建設計画を進めるにあたり、広域連合は清掃センター(ごみ焼却場)を中心に、概ね片道50㎞の範囲内であることなどを要件として、21年3月26日まで処分場の建設候補地を公募している。今後設置予定の(仮称)用地選定検討委員会で、条件等の適合を審査し、段階的に候補地を絞り込む。
◆ 北方北郷線川水流橋工区(延岡土木事務所)
主要地方道北方北郷線は、延岡市北方町を起点とし美郷町北郷区に至る路線。唯一の未整備区間である川水流橋工区は延長400m程度で、老朽化が進む既設の川水流橋(270m)は幅員が狭く、大型車の離合が困難な状況にある。
計画では、川水流橋上流部に新橋を架設し、北方北郷線と接続する道路を含めた一体的な整備を行う。整備延長は440m(幅員9m)で、このうち新橋は延長273mの鋼5径間連続非合成箱桁橋を計画する。全体事業費は約22億円。
19年度までに新橋の詳細設計や地質調査、用地測量、構造物詳細設計、旧橋撤去設計等の関連業務のほか、新橋のP3・P4橋脚工事を発注。20年度は8月に新橋のP1・P2橋脚工事を発注し、12月に上部工事の入札を執行した。
◆ 産業団地整備(延岡市)
整備予定地は、現在のクレアパーク工業団地から国道10号延岡道路を挟んだ延岡JCT-ICの南東側。整備に伴う経済効果や他市の事例を踏まえ、クレアパーク延岡工業団地第2工区と同程度の規模とし、概算の開発区域面積を20㌶程度、分譲面積を約10㌶とする。これに基づく概算事業費を約28億円と試算する。
企業の求める立地スピード感に対応するため、「レディメード方式(先行用地造成)」で整備を進める。事業スケジュールは、▽19~20年度=設計、用地取得・交渉▽20~21年度=開発許認可手続・文化財調査▽22~23年度=造成工事―を予定する。
◆ 竹田五ヶ瀬線波帰之瀬工区(西臼杵支庁)
主要地方道竹田五ヶ瀬線波帰之瀬工区(五ヶ瀬町~高千穂町)は、幅員が狭く線形不良箇所が連続しているうえ、大型車両の通行止区間となっている。このため、安全で円滑な交通や安定した輸送ルートの確保などを目的に道路改良を行う。
整備延長は1.4㎞(幅員7m)で、山間部を切り拓く直線ルートを計画。区間内には五ヶ瀬川を渡河する(仮称)波帰之瀬橋(橋長412m・3径間連続PCラーメン箱桁橋)を整備する。全体事業費は約44億円。14年度から事業に着手した。
19年度までに新橋の詳細設計や物件等調査、測量業務、地下水調査業務、道路詳細設計業務のほか、波帰之瀬橋の下部工(P1橋脚)や道路改良工事、舗装工事、法面工事、物件等調査業務を発注。20年度は積算技術業務を発注した。
◆ 森林基幹道高千穂・日之影線(西臼杵支庁)
効率的な林業施業の推進や生活環境の改善を目的に、高千穂町大字押方を起点、日之影町大字岩井川を終点とする約4万mの林道整備のほか、25年度までに▽主伐=117㌶▽間伐=198㌶▽造林=71㌶▽保育344㌶―などの森林整備を実施する。
林道は2万3,600mを新設、1万7,500mを改築で整備する方針。車道幅員は4m、全幅は5m。区間内に計画する乙女大橋は、橋長114mのPC2径間連続Tラーメン箱桁橋(支間長56m)で、20年3月までに上部工までを発注している。
20年度は切盛土や法面工、舗装工、仮設工、排水施設工といった道路改良工事のほか、残土処理施設及び林道の測量・設計業務、立竹木調査業務を発注した。