国土交通省九州地方整備局は12月1日、2020年度第3回事業評価監視委員会(園田佳巨委員長=九州大学大学院工学研究院教授)を福岡市の福岡第2合同庁舎で開催した。会合では、東九州自動車道志布志~末吉財部や志布志港ふ頭再編改良事業など6事業の再評価を行い、いずれの事業も継続することを委員が了承した。
公共事業の再評価では、事業の効率性や透明性の向上を図るため、事業採択後一定期間が経過した時点で未着工の事業や、事業採択後長期間が経過した時点で継続中の事業、再評価実施後に一定期間が経過している事業等を対象に、事業継続の可否を審議するもの。今会合では、管内の道路5事業と港湾1事業の再評価を行った。
このうち、鹿児島県内で整備が進む東九道志布志~末吉財部は、九州の高速道路ネットワークの一部を形成し、大隅地域へのアクセス性強化や物流の効率化による地域産業活性化の支援等を目的とした事業。計画延長は48㎞(幅員12m・2車線)で、事業進捗率は、事業費ベースで約92%、用地ベースで100%となっている。
整備区間のうち、鹿屋串良JCT~末吉財部IC(延長28.8㎞)が開通済。2021年夏頃の開通に向けて、志布志IC(仮)~鹿屋串良JCTの改良及び舗装工事を推進している。このほか、20年7月豪雨で被災した箇所の復旧のため、事業費12億円を追加し、盛土法面や切土法面など全体で59箇所の被災箇所を復旧している。
一方、志布志港ふ頭再編改良事業(鹿児島県)は、配合飼料の原料である穀物の輸入において、大型穀物船による一括大量輸入の進展に対応するため、岸壁や航路及び泊地、ふ頭用地、護岸、荷役機械を整備する。志布志港は、資源等の輸入拠点として大型船が入港できる岸壁整備を目的とした「国際バルク戦略港湾」に選定されている。
前回評価時の事業費は106億円だったが、床掘方法の見直しに伴う費用の増額(約17億円)と事業期間の延伸、ケーソン製作方法の見直しによる費用の増額(約16億円)、ふ頭用地における護岸等の構造変更による費用の増額(約10億円)などを行い、事業費を149億円、事業期間を24年度までに見直す。事業進捗率は約17%。
会合ではこのほか、国営吉野ヶ里歴史公園事業(佐賀県)の事後評価を行ったほか、▽遠賀川総合水系環境整備事業(福岡県)▽筑後川総合水系環境整備事業(福岡県)▽本明川総合水系環境整備事業(長崎県)▽白川総合水系環境整備事業(熊本県)▽大淀川総合水系環境整備事業(宮崎県)―の河川5事業の再評価結果について、報告があった。