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戸数適正化へ集約など検討 日向市公営住宅整備計画案

 日向市は、将来の公営住宅のあり方について中長期的な方針を定めた「日向市公営住宅中長期整備計画案」をまとめた。多様化するニーズや社会情勢の中で、住宅困窮者への安定的な住戸の供給や安全性の確保といった本来の役割を担い続けるため、用途廃止や集約・再編による戸数調整等を行い、管理戸数の適正化を図る。

 市が管理する公営住宅は29団地・127棟・1332戸あり、その多くは高度成長期に急増した住宅需要に対応するために建設された。現時点では需要と供給のバランスは保たれているが、将来的な人口減少や公営住宅に入居している高齢世帯の急激な退去が進んだ場合、需要と供給のバランスが崩れることが想定される。

 一方で、応募世帯の世帯人数と住戸の広さにミスマッチが生じ、これに伴う空き家の増加と減収が進んでいる。また、一般的に公営住宅の改修は20年周期で行うが、厳しい財政状況等で20年経過後も未改修の住棟が全体の約7割に達し、安全性を確保するうえで深刻な課題となっている。施設の維持管理費も大きな負担だ。

 これらの課題や将来の需要戸数の推計のほか、公営住宅が多様化するニーズや厳しい社会情勢の中でも本来の役割を担い続け、時代に合わせて適切に変化していくため、計画案では「2040年時点での管理戸数1050戸程度」とする目標値を設定する。今後の人口推移や社会情勢を踏まえ、目標値は概ね5年ごとに見直しを行う。

 目標値を実現させるためには、20年間で282戸の削減を行う必要がある。このため、安全性に懸念がある団地や空き家率15%以上の団地、同じエリアで複数点在する団地に関しては、用途廃止や解体を検討する。また、安全性及び空き家率に懸念がある団地や、一定数の地域人口を有するエリアの団地は、集約・再編を検討する。

 用途廃止や集約・再編といったハード整備に加え、ソフト整備の充実も図る。公営住宅の経営健全化に向けて、PFI等の民間資力や経営ノウハウの活用、施設の複合化やテナントの併設、用途廃止団地の他事業、民間企業による活用、団地ごとの歳入・歳出の見える化、駐車場や修繕等の各種料金の見直しなどを検討する。

 これらの整備方針に沿って事業を立ち上げる際には、該当団地について個別計画を策定し、入居者や地域住民との調整を図る。