▲写真は意見交換の模様
都城地区建設業協会女性部や都城市が主体となり、1日に都城市内で「女性土木技術者の意見交換会」が開かれた。会には官公庁や民間企業で働く女性技術者に加え、地元高校の建設系学科に通う女子生徒も参加。関係者ら100人超が聴講する中、建設業で女性が働く上での現状や課題について意見を交わし、課題の解決に向けた道筋を探った。
主催者を代表して挨拶に立った都城地区建設業協会の堀之内芳久会長は、土木業界で女性が頑張っている現状を「力強く感じている」と評価。建設業が女性も輝ける職場であることを強調し、「意見交換を通じて、一人でも多くの女性が建設業への興味や関心を持ち、業界に入職してもらえることを期待している」と述べた。
意見交換の参加者は、▽加藤美雪さん(木場組)▽中武倫子さん(一ツ瀬建設)▽久木元十百枝さん(宮崎土木事務所)▽清水志保さん(都城土木事務所)▽春永美和さん(北諸県農林振興局)▽大野愛さん(都城市役所)▽瀬戸珠美麗さん(都城農業高校)▽本田汐里さん(都城工業高校)。コーディネーターは宮崎日日新聞社の小川祐司経済部長が務めた。
最初のテーマは建設業界の人手不足。久木元さんは「立ち会いに行った際、多くの現場で若い人が少ないと感じる」と指摘し、中武さんは「このまま現場の高齢化が進めば、技術の継承が難しくなるのではないか」と提起した。人材を募っても集まらない現状に関しては「業界全体のイメージアップが必要」との意見が上がった。
建設業に入職した動機について、加藤さんは「自分の能力を試してみたかった」と述べ、現場で働く人や周辺住民とコミュニケーションを取ることが楽しみの一つであると説明。高校生の瀬戸さんと本田さんは、テレビ番組の特集や現場見学会を通じて土木に憧れを抱き、進路選択と入職のきっかけとなったエピソードを披露した。
現場で女性が働くメリットに関しては、「地域の方から気さくに声を掛けてもらい、地元との距離感が縮まる」「地域の困り事などを聞くことで、工事を円滑に進めることができる」などの意見が上がった。加藤さんが勤務する木場組の木場智彦社長は、「女性がいることで場が和み、自然と全員に気遣いや心遣いが生まれる」と述べた。
一方、時間的に不規則な建設業の就業形態に於いて、出産や育児等が女性が入職する上での障壁になっていること、一部の自治体では働く女性をサポートする体制が構築されていることも確認。県内の建設業で働く女性技術者が集い、悩みや解決の糸口について話し合う、広域的なネットワークの必要性については全員の意見が一致した。
女性の入職を増やす手法について、大野さんは「小中学校などの早い段階から接点を持つことが必要」とキャリア教育の重要性を指摘。清水さんと春永さんは、保護者の理解を得るため、出前授業等に参加してもらうことを提案した。中武さんは、妊娠や出産に伴う現場技術者の変更等を引き合いに、柔軟な制度設計の必要性などを訴えた。
会の開催を主導した女性部の宮島百合子部長は、「夢と希望を持つ彼女達に寄り添い、悩みや意見を真摯に受け止めることが、女性技術者を育てていくための第一歩」とその意義を強調。発注者や企業、関係団体が連携し、女性も働きやすい環境構築をサポートしていくことで「業界全体としての展望も開けていくのではないか」と述べた。